29.【水面と深海】


一筋の光と水面の泡


  小瓶の中に浮かぶ心


沈みきらない黒い輝き


 誰がすくってくれるというのか?


すくいなど とうの昔に消え失せた


 その目に何が映るのか


暗き常世とこよのその中に


 輝く光は未だ遠く


空に伸ばした手には虚しく


 からからと空回り


すぐ側に 掴めるものなど


 暗く澱んだ瞳には映りもしない


否 掴めるものがあれども


 確たる形が欲しいのだ


そんな震える体に

 冷たく何かがしたたり落ちる


ああ そこにあるきぼう


 いつのひか


わたしにそれが与えられるでしょうか




 2010.6.14

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る