8.【水鏡】


ナルシス


 その泉に映るは己の姿


その姿に「美しい」と言っては嘆く


 映るのは己と空



彼はそれ以外を知らない


 それ以外の世界を見ない



「なんたる愚行!」


一人の神が嘆きます。



彼は何も知らずに泉に身を投げた


己以外を知らずに世界を終らせた



神は美しかった彼を花に替え。


今でも彼は嘆いているのだろうか



己の美しい姿に?




2010.3.19

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