071 危険な”夢”への挑戦 <04/05(金)PM 03:39>


 ※※※ 注意 ※※※


 ただいま [夢の洞窟] 中です。



 大量だったり、黒かったり、テカってたり…そういうのが苦手な方は、しばらく読み飛ばしていただいた方が良いかと思います。ご注意下さい。


 [夢の洞窟]終了まで『目印』として、『無理矢理サブタイトルに”夢”の文字を付けていこう』と思います。よろしければ参考にして下さい。


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 出会いの街[ヘアルツ]の西(←)の岩山にある[夢の洞窟]を探索中の俺達3人は、最初の『大きめの北に伸びた長方形の大部屋(もしくは広い通路?)』から、右、東(→)の『脇通路ルート』を探索し、『合計9個もの宝箱』を発見し、アイテムを回収した。

 そして元の入り口付近まで戻ってきた俺達は、続けて『北(↑)ルート?』の探索を開始し、最初の曲がり角で10個目の宝箱を発見、アイテムを回収する。

 そのすぐ先の『コブ状の小部屋』でも宝箱を発見したが、LV21の『ミミック』と判明。全力で戦うために、ケイはこれまでの「ダメージを食らうための装備」を変更するのだった。


北(↑)

┠─ これまで探索していた東(→)の脇通路

入り口


(※↑大雑把に この様な感じです)



「すまん、待たせたな」

 ケイが『フル装備』に換装して『ミミック』挑戦の準備が整った。


「さて作戦だが…… とにかく『ケイが70%以上食らう』ようなら退散だ」

「あぁ…」

「クリティカルで死んでしまいますから、仕方無いですね」


 「………」通常ダメージで70%は、クリティカルで140%。

 つまりケイの『狂戦士』の常時発動パッシブスキル、『鋼の肉体[ボディオブスチール][P]』を、貫通(耐え切れない)してしまう。『仮初の不死[ワンス・イモータル][P]』は『LV50以上』でなければ発動しない(使用されない)のだ。


 ちなみに何故こういう「〇LV以上」…と指定される様な仕様、システムになっているかと言うと、TJOには「『LVダウン』が存在するから」である。

 LV50になって『発動可能』になっても、LVダウンしてLV49に下がれば発動しなくなる…というわけだ。通常のゲームだとLV50になって条件を満たし、スキルや術を習得、会得した後で、転職? 等で”LV1”になっても使用出来たりする(MPなどが足りるかは置いておいて)のだが、TJOでは出来ないモノが多い。

 また『狂戦士』の『虫の知らせ[プレモニション][P]』、『仮初の不死[ワンス・イモータル][P]』…などの様に、昇格、転職後から習得、会得している場合もあれば、『条件』を満たしてから会得する場合など様々なパターンがある。



「それで69~57%だったら1回、56%以下なら2回のクリティカルを食らったら退散する」

「わかった」

「いいと思います」


 「………」鋼の肉体[ボディオブスチール][P]は”無制限”に使用(発動)出来るわけでは無い。『57%』の場合、クリティカルを食らって倍の114%ダメージだと、『80%のHP』と『34%のMP』を消費する。HPが、MPは”戦闘中”に回復出来ない(+7以上のポーションがあれば別だが)


 『57%』で2回目のクリティカルを食らうと、計68%のMPを消費して、残りMPは32%、つまり次のクリティカルはMP不足で耐えられない。

 HPが、保険は無くなってしまう。だから『1回分の保険を残して逃走に移ろう』という事だ。(56%以下なら次も耐えられるので2回)


 『イルカモネ山猫』の様に、素早いモンスターは『逃走中』にも『追撃』を受けやすい。

その時に『クリティカルを食らう』という危険性も、考慮しておかなければならない。



「それじゃ、いっちょ「あ、ちょっといいですか」」

 ヒイラギが戦闘に移ろうとしたので「待った」をかけた。


「おぅ、他に何かあったか?」

「えっと、『逃走』する事を考えて、戦闘場所をもっと南(↓)にしませんか?」

「うん?」

 ヒイラギとケイが首を捻っている。


「『G百足』の時みたいに、俺達は南で待ってて、ケイがFAを取ったら、そこまで逃げてきてもらってから、改めて戦闘って感じで…」

「あぁ… 最初から”引き離しておこう”って事か」

「そうだな… そうするか。それじゃケイは『ギリギリ攻撃が届く場所』で、〈戦闘状態〉に切り替えて、FA取ったら一旦『解除』して逃げてこい」

 さっそくヒイラギが作戦を立てる。


「わかった…」

 俺達は先ほどの10個目の宝箱があった地点近くまで戻り、ケイは『ミミック』と”俺達”の、中間地点ほどでキョロキョロと戦闘範囲の確認をしている。戦線? が伸びているため、広い範囲で『陸海空3軍の覇者』達が退散している状態だ。


 「………」この[夢の洞窟]は、この『虫地獄』のせいで、実は『逃走も難しい』ダンジョンである。こうやって最初に『ミミック』をPOP地点から引き離しておいて、さらに戦闘中、俺は”回復が出来るギリギリ”まで、南(↓)に位置取って「逃走ルート上の虫達に退散していてもらおう」…と考えている。まぁ問題無く勝てれば”それでいい”のだが、俺は最悪を想定する男。堀越… 取り越し苦労であれば、それはそれで良いのだ。



「よしっ」

 ケイが〈戦闘状態〉に切り替えた様だ。そのままミミックの方に近寄っていき、


「行くぞ?」

 と最終確認の声が聞こえる。


「おぅ、いいぞっ」

「OKです」

 俺達の返事を聞いて、ケイは背中に背負った『鉄の大剣』を引き抜いて、お馴染みの”蜻蛉トンボの構え”? をとると、


「ってりゃあぁぁーっ!」

 と、気合い一閃、眼前の宝箱『ミミック』に対して、巨大な『鉄の大剣』を叩きつけた。


 ガゴゴ――ンッ、という爆音と衝撃音が、離れて待っている俺達のところまで響き渡り、宝箱に直撃し、『ミミック』との戦闘が開始された事を伝える。ケイはすぐさま叩きつけた『鉄の大剣』を持ち上げて、背中に背負うと俺達の方へと逃走してくる。その向こうでは、


「ngayoaarathotepuuu!!!!」

 何とも形容しがたい… 怒り? の音? 声? をあげて、『宝箱』が”うじゅうじゅ”と変貌をとげていく。

 そして、箱? 甲羅? の下側に、”にゅるにゅる”とした複数の足? 触手? を生やすと、自分を攻撃してきた(FAを取った)憎いケイを攻撃? 食べるべく? 猛スピードで追走に入った。

 予想通り? かなりの速度で、タコが海底を滑る様にすすむが如く、〈戦闘状態〉で『移動速度が上昇している』はずのケイに、みるみる追いついてきている。


「ちっ、速いっ」

 ケイはかなり俺達の方へ戻って来たところで急いで〈通常状態〉に戻す。

 ようするに、『ミミック』から俺達のいる南の方(↓)までの、『戦闘区域(バトルエリア、バトルフィールド)』を、移動速度の速い〈戦闘状態〉で『逃げるために利用した』わけだが、『ミミック』の移動速度はだった。


「iayogothotoholtoooou!!!!」

 聞き取り辛い音を発して、追いかけてきた『ミミック』が、〈硬直状態〉のケイに襲いかかった。思った以上に『ミミック』が速く追いついて来たため、俺はヒイラギを残して、ケイの元へ走っていく。


 「………」TJOでは、〈戦闘状態〉や、〈通常状態〉に切り替えると、『スキル使用後』などと同様に、若干だが〈硬直状態〉、つまり『スキになる時間』がある。

 そしてこの〈硬直状態〉があるため、PKなどから『逃走』出来る様になっている。


 PKや強いモンスターから『逃げる』ために〈通常状態〉に切り替えると『硬直』して隙が出来てしまう。すると相手はその〈硬直状態〉を狙って攻撃してくるわけだが、『攻撃』や『追撃』をするには、当然だが相手は〈戦闘状態〉でなければならない。


 そうすると『追撃』をのだが、自分は〈通常状態〉に戻ったので、その後は逃げる事が出来る。

 しかし相手は〈戦闘状態〉であるので『一定範囲内』しか追いかけられない。

 追いかけようとして〈通常状態〉に切り替えると『硬直』してしまう。その間に自分は安全地帯などを目指して逃げていれば、『〈通常状態〉での移動速度は同じ』なのだから、絶対に追いつかれない、つまり逃げきれる…という事だ。(もちろん『初撃』や『追撃』で死亡したり、集団に襲われて『囲まれる』など、常に『逃走』が成功するわけでは無いが)



 バクンッ―! と『ミミック』が、元は宝箱のフタ部分だった口? でケイに噛み付いた。


「ぐわっ!」

「ケイっ!」

 ケイは苦痛の声を漏らした、HPゲージを確認すると50…2、3、『53%くらいのダメージ』だ。つまり『戦闘は続行』、56%以下だったので『2回のクリティカルを食らったら退散』だ。ようやく戦闘BGMが聞こえてきた。急いで治癒魔法をかける。


「…治癒魔法[ヒーリング]」

 ケイのダメージが全快する。


「助かるっ 戻るぞ」

「はい」

 〈硬直状態〉の解けたケイと俺は、ヒイラギの居る地点まで走って戻る。ヒイラギは『鋼のメイス』を右手に持ち、左手に『鋼の小盾バックラー』を持って〈戦闘状態〉で待っていた。


「よし、それじゃ予定通り… 『2回クリティカルを食らったら逃げる』からなっ?」

「わかってる」

「了解です」

 ヒイラギがもう1度確認をとり、俺達がうなずく。

 そしてケイは再び〈戦闘状態〉へと切り替える。『ミミック』LV21が”うじゅるうじゅる”と足? を生やして、こちらに滑る様にやってきていた。


 「………」どう見ても『宝箱』だったその姿は、今では『名状しがたい箱(タコ?)のようなモノ(不確定名)』…と化していた。

 イカ? タコ? の上に2枚の硬い外殻の…貝の様な? ハコの様な? モノが乗っていて、移動時以外は”うじゅうじゅ”とした足? 触手? は、その外殻の中に収納している? …らしい。

 ケイに噛み付いた? 時に少し見えた、ハコの中身は… うねうね、ぐにゃぐにゃしていて、2つの黄色い玉に『太めの黒い線(郵便ポストの隙間みたいな?)』が入った… 目玉? が見えた…ような?… うつろな目玉が…俺を、俺が目玉に……


 あががが…おかしい。ゲーム時代も『ミミック』はだったはずだが、何故か俺のSAN値がガリガリ削られている!?

 ダメだ… アレは”じっくり”と観察とかしては いけないたぐいの”なにか”だ。

(※TJOにSAN値や正気度といった概念はありません)



「くらえっ」

 ケイが追いついてきた『みみっく?』に対して、巨大な『鉄の大剣』を叩きつける。


 ゴガガ――ンッ、という爆音と衝撃音が響き、『ミミック』の外殻? にヒットする。

 しかし『Gカマド』達を”一刀両断”し、『G百足』を叩き伏せてきた… その強烈な1撃を受けても『ミミック』にあまり変化が見られなかった。「こうかは いまひとつ」だ。

 『切断、衝撃』系武器の『良いとこ取り』…という『中途半端さ』が、この『ミミック戦』では形になる。


「おりゃぁっ!」

 ケイの攻撃に合わせる様に、ヒイラギが右手に持った『鋼のメイス』を思いきり振りかぶって、『ミミック』の背後? から外殻? に叩きつける。


 ガゴンッ、という鈍い音を響かせ、『鋼のメイス』が『ミミック』の外殻?にヒットし、『衝撃』を内部に与えた? ようだ。しかし「こうかは ばつぐん」なはずだが、やはり『ミミック』にあまり変化は見られない。『元々の攻撃力が足りていない』…という事だろう。


「くそっ硬いっ」

「こりゃぁ、長引きそうだな」

「頑張りましょう」

「baiaqyuherhastouroaieaieaaaa!!!」

 4人? の息が合った!? 人は…… わかりあえるっ!(キリッ。

 ( ;∀;)イイハナシダナー



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LV:12(非公開)

職業:みならい僧侶(偽装公開)(僧侶)

サポートペット:ミケネコ/三毛猫型(雌)

所持金:4,961G

武器:なし

防具:布の服

所持品:15/50 初心者用道具セット(小)、干し肉×21、バリ好きー(お得用)90%、樽(中)90%、コップ(木)、サクランボ×1、鋼のナイフ、鉄の斧、青銅のブーツ、賞金首の首輪[†カムイ†]懸賞金:94,000G、鬼王丸×2、弓(不確定名)、鉄のブーツ、棒(不確定名)、篭手(不確定名)



鋼の肉体[ボディオブスチール][P] 一撃で80%以上のダメージを受けた時、80%以上のダメージをカットし、カットした分の”%MP”を消費する。(上限40%まで)

  補足:常にHPを80%以上に保っていれば死ににくいが、一部の特殊系、即死系のスキルなどには効果が無い。継続ダメージや連続攻撃にも弱い。また”140%以上のダメージ”を受ければ、上限の40%までカットされても、残りが100%を超えるため即死する。


仮初の不死[ワンス・イモータル][P] LV50以上の時、致死ダメージを受けても、120分間に一度だけHP1で耐える。

  補足:発動後120分間はリキャストタイムとなる。継続ダメージや連続攻撃には弱い。


虫の知らせ[プレモニション][P] LV50以上の時、半径15m範囲の戦闘状態の存在を察知する。

  補足:歴戦の戦士が備える直感、警報:急襲[レイドアラート][P]の”みならい戦士”版のスキル。



「…ご主人さま~?」

「…… ( ;∀;)」

「また ご主人さまが、さんちぇっくにしっぱいした~」


「…老後とチキンカツが怖い」

「ふあん (で) ぶるー だよ~」

「……ああ! 箱が! 箱g……」

(※TJOにSAN値や正気度といった概念はありません)

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