灰色と緑と借金と
壱 一朗太
第1話 青くない地球で
かつて、世界初の有人宇宙飛行に単身搭乗した宇宙飛行士、ユーリイ・ガガーリンは
「地球は青かった」という言葉を残したと言われている。
しかし、もし彼が今の地球を見たらなんという言葉を発するだろうか。
25XX年我々が住んでいた地球は長年の大戦によって荒廃してしまった。
そのため、ほとんどの人々や生物は火星移住化計画により火星に移り住み。
地球に残されたのはお金のない貧相な人々と荒廃した大地、コンクリートジャングル・・・
そんな世界になってしまった。
そんな世界になってから2年がたった。
会社の上層部は解決案を出せているんだろうか。
まあ俺には、関係ない話だ。
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狭い部屋の中、青年は机の上の日記を閉じて
ため息をついた。
(俺の家族は元気にしてるかな、会いたいなー)
青年はイスの背もたれに寄りかかり窓の外を見た。
外には荒れた大地が広がっている。
青年は窓から目をそらし、ため息をつく。
部屋の中に沈黙が流れる。
「基地内に侵入者、繰り返す基地内に侵入者、戦闘員においてはこれを排除せよ」
警報機が勢いよく喋り出す。
ドアが勢いよく開き、隊員が入ってくる。
「アオ大変だ、ブルーアップルの襲撃だ」
アオと呼ばれた青年はうなずくと、ベットに立てかけてあった銃を持ち出し走り出した。
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荒廃した大都会
地球に残された人々は食料を確保するため、
かつての文明の跡が残る地を転々として生活していた。
「夢人くん、そろそろ定期会議を始めるよー」
「はい、今行きます」
僕の名前は安火 夢人。
年齢は、19歳。
定期会議というのは、僕と一緒に各地を転々としている人たちの間で行われる報告会みたいなものだ。
なんで僕がこんなところで、生活を送っているのか
それは両親が作った借金により火星移住の資格がもらえなかったからである
うちの親は、とても真面目だった。
「人生はいつも真剣勝負」が口癖の父と母・・・・・
そんな人たちが、なぜ借金をしてしまったのか。
当の本人たちは5年前どっかに消えてしまった・・・
はあ・・・
心の中でため息をつく。
「おーい、夢人くん大丈夫かーい?」
ハッと意識が帰ってくる。
「うわわ、すいません」
「大丈夫、大丈夫、では会議を続けますよ」
「えー、先ほども言いましたが、今私たちの周りには危険が多いです、例えば最近急速に発達している過激派組織、ブルーアップルです」
「ブルーアップル?」
夢人は、「なにそれ」と言わんばかりに首を傾げる。
「ブルーアップルとは我々のような難民や軍事施設を襲い、食料や生活品を奪っていく人達のことだよ」
夢人の隣に座っていたおじさんが笑顔で答える。
「軍事施設ってあのグリーンアース社のことですか!!」
「そうそう、今、この地球を管理している軍事大企業グリーンアース社の人々も恐れているやつらだ」
「こちらの戦力はゼロに等しい、だからそいつらに出くわさないように移動の時は慎重にしてくれ。
なお、グリーンアース社戦闘員にも引き続き警戒すること」
「では今週の会議を終了する。各自解散!」
「ありがとうございました!!」
・・・・・・・テントへの帰り道・・・・・・
「グリーンアース社戦闘員だけでも大変なのに今度は過激派組織かよ・・・・・」
僕の友達であるコトがだるそうに言う。
彼もまた地球に取り残された人々の1人であり俺の親友ともよべるやつだ。
彼が今言ったグリーンアース社・・・
荒廃した地球を元の緑の星に変える夢の会社・・・
といえば聞こえはいい、しかし、グリーンアース社は戦闘員を雇い、私たちのような難民を捕まえている、という噂が、各地の様々なキャラバンで囁かれていた。
「僕の電撃銃も残りすくないし、また充電しなくちゃなー」
夢人は腰につけている銃をポンポンとたたき、つぶやく。
「夢人の電撃銃だけじゃ敵が来てもやられちゃうよw、解決方法を探さないとな、じゃ、またw」
笑いながらコトはテントに戻っていった。
(完全に今、語尾にwついてたな・・・・・。
しかし・・・・、確かにコトの言う通りだ、どうするかなー、
いっそこの際、キャラバンの男全員でグリーンアース社の施設から武器を調達してくればいいんだ、まあそんなこと無理だろうけどw)
夢人は、自分のテントに着くと寝袋に入り静かに眠りについた。
・・・次の日の朝・・・
顔を洗っている夢人に一人の青年が話しかけた。
「おはよう」
「ん・・・・・、なんだ・・・・お前か・・・おはよう、コト」
「なんだとはないだろ・・・・、まあいいや、聞いてくれよ、俺名案を思いついたんだよ、
武器がないなら・・・・・・・・、盗めばいい!、
だからグリーンアース社の施設に盗みに入ろうぜ」
コトは、目をきらきらさせながら俺に話してくる。
「それは僕も思いついたけど、絶対に無理だよ
相手はあの軍事大企業なんだよ、セキュリティーが万全だと思うよ」
「何事もやってみないとわからないだろ、
若い男は俺らしかいないんだから、
ということで今日の昼、作戦決行だ」
「え?!今日?!」
「こうゆうのは早いのがいいんだよ」
「移動手段は?」
「車を使う」
「えーー、はーーーー、わかったよ・・・」
(コトはこうなると意地でもやるって聞かないからなー)
「じゃ早速準備するぞー」
「・・・」
「そうゆう時は おーー だろ」
「お〜」
「じゃ、解散!!」
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グリーンアース社施設内
「ちっ、敵が多いな」
「うるさい、アオ、集中しろ」
いくら倒しても減らない敵。
グリーンアース社戦闘員のアオは精神的、肉体的ともに疲れていた。
施設の多くは壊れ、戦闘員も多くがやられたと連絡があった。
残っているのは屋上にいる俺らだけかもしれない。
視線を先輩の方に向ける。
先輩の後ろに何かが転がってきた・・・・・。
「先輩、後ろ!!手投げ高電弾です!」
「なんだと 対応ができ・・・」
目の前で高電弾が爆発する。
アオはその光を見た瞬間に宙を舞うような感覚と共に意識を失った。
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グリーンアース社施設近く
夢人とコトは車に乗り施設を目指していた。
2500年代、理由はわからんけど浮いて走行できる車が開発されていた。
スピードも昔と桁違いなものになっていた。
「目的地点まで2分」
電子頭脳ナビゲーションが喋る。
「あんだけ遠かったのにわずか10分か」
「さてと、おほん、今回の作戦を説明する」
助手席に座るコトが、わざとらしく咳をする。
「はい」
「なんかこう・・・・頑張るしかない!!」
「ノープラかよ」
「ノーブラみたいに言うなよ」
「下ネタは読者が嫌がるだろ」
「メタいなーw」
・・・・・・・正直ここカットでもいいような・・・・・・
・・・・・・・・・
中学生のような言い合いをしていると、
やっと目的の施設が見えて来た。
「おい、あれ燃えてないか?」
コトが指を差して、言う。
「確かに燃えてるな」
「あれはあのグリーンアース社の施設だよな」
「車のナビシステムは、そう示してるけど」
「確認しにいくぞ」
さらにスピードを上げ、車を飛ばし、2人がそこで見た光景は、
炎が上がり、崩れかけているグリーンアース社の施設だった・・・。
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「何があったんだ・・・」
そうコトが呟き、2人はその場で棒立ちになる。
2人の目の前には、普通ならありえない光景が広がっていた。
軍事大企業というだけあって、普通の難民が束になって襲ってきても大丈夫なようになっているはずなのだが、
目の前に広がった物はそれを裏切るような光景だった。
ほとんどの建物は、崩れ落ち、あちこちのいたるところで火が上がっている。
夢人とコトは無言で、その場に立ち尽くす。
ふと、何かが足元に投げられた。
それが地面についた瞬間、白い煙が発生した。
「な、なんだ」
投げられたのは、煙幕弾だったようだ。
「うわああああああああ」
煙幕の中、コトの叫び声が聞こえ、そして遠ざかるように消えていく。
「コトー!!」
しばらくして煙幕は晴れたがそこには、コトの姿はなかった。
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