第62頁目 ― 23 ― 二号室。暗黒 滅亡(くらい ほろぶ) ―  

   ― 23 ― 二号室。暗黒 滅亡(くらい ほろぶ) ―


 オレは、タメ口野郎の部屋を、やっとの事で出てくる・・・

 服にかかった多少の塩を払いながら、しかめっ面でタメ口野郎の部屋を一度振り向く。

 あぁ、アイツの部屋の感想なんて何も語りたくも無い・・・

 特に別にどうでもいい・・・


 ってか、もう一時間が経ったのか。

 時間経つのって早いなぁ・・・ってか、あまりにも嫌すぎて長く感じたかもしれない。


 次は二号室の・・・

 怪力モアイゴーレムの部屋かぁ。

 出来れば入りたくない気がする。

 戸惑いながら悩んでいるオレ。

 どうしようかなぁ?。

 部屋をノックしようかなあ?。でもしたくないなあ。

 でも、こんな訳の判らないイベントに巻き込まれているし・・・

 行きたくないけど、行かないといけないのかww。


 そして、オレは決心を固めて、二号室の怪力モアイゴーレムの部屋の前に立ち。

 ノックしようとしたその時、

 ぬ゛も゛ーーーーーっ。

 と、突然に、いきなりドアが開き、オレの顔に怪力モアイゴーレムの顔が近づいた。

 げっ!怪力モアイゴーレム!。

 近い、近い!。

 顔が近いよ!

 オレは、いきなり顔がどアップで出てきて驚く。


「ボク、待っていましたよ。

 けど、ちょっと予定があって明日にしていただけませんか?」

 そう言うと、

 バタン!。

 と勢いよく閉めるドアの音が廊下に響き渡る。

 えっ?!。もしかして、オレを待ちきれずに、ずっと玄関で待っていたのか?

 ・・・だとしたら、すげー執念だ。

 逆に怖ぇーよ!。

 けど、しょうがないなあ・・・

 まあ、いきなりだからみんな予定はあるだろう。

 オレは、呆然とその場にたたずみながら、次の三号室に目を向ける。


 とりあえず・・・じゃあ、三号室に行くかぁ。

 オレは、インターフォンを押して、出て来るのを待つ。

 ・・・

 あれ?、出てこない。

 出てくる気配も、ドアの向こうから声が聞こえる気配も無い。

 そして再び、インターフォンを押す。

 ・・・でも出てこない。

 オレは、意地になり、何度も押し続ける・・・

 ・・・しばらく待っても、一向に出てくる気配も無い。

 

 やっぱり留守なのかぁ?。

 オレは諦めて次の部屋を回る事にした・・・


 ・・・諦めて、次々と順番に、六号室・七号室・八、九号室・・・管理人室と訪問をしてみるが、誰一人として居なかった。

 

 もう、タメ息さえも疲れて出てこない。

 誰もいないのかよ!。

 けど、まあ、そうだよなぁ、

 みんな仕事もあるし、予定もあるだろうから、いないのが当然かもしれない。


 そしてオレは、今日は諦めて、自分の部屋に戻る事にした。


 じゃあ、部屋に戻るとするかな・・・


 ・・・オレが部屋に戻り、しばらくするとインターフォンが鳴った。

 オレは玄関に行き、ドアを開けた。

 すると、タメ口野郎がダンボール箱を持って立っていた。

「よお!ちょっと、いいかぁ?。俺様の荷物をちょっと置かせてくれないか?

 ちょっとの間だけだよ。いいだろう?。まあ置かして貰うだけだから、いいだろう?。いいよな! 決定だな!。置かしてもらうぜ!」

 は?。

 なに?

 オレが荷物を預かるのか?

 はぁ?!、コイツの荷物を?

 どうして、預からないと行けなんだ?

 ま、まあ、預かる程度ならいいか・・・

 と思いつつ、預かる事にした。

「えっ?は、はい・・・特に部屋に何も無いのでいいですよ で?。いつまで置けばいいんですか?」

 でもオレは、コイツの顔を見ると拒否反応を起こしている。

「まぁ、そうだなぁ・・・とりあえず、置いておいてくれ!頼むぜ!」

 げっ?何を意味不明な事をほざいているんだコイツは!?。

 一生だとぉぉぉ?

 て、てめぇぇぇ!いいかげんな事 言うなよ!

 すると、いきなりコイツが、強引にオレの部屋の中に入って来た。

「おい!ちょっと、邪魔だ!、どけよ!。本当に気がきけねーなぁ!」

 なんと言う不法侵入なんだ!。

 オマエは、強盗かよ!w

 なんてこったい。どんなに俺様気取りなんだよ!。


 コイツは、部屋の奥にダンボール箱を置くと、

「じゃあ、頼んだぜ!。俺様の荷物だから、とても大事に保管をしてくれよ!」

 と言って、ドアを閉め、一号室へと帰って行った。

 来てから帰るまで、一瞬の出来事だった。

 オレの視界には、一つしか見えなかったダンボール箱。

 でも結局は、五箱もあった。

 おいぃぃぃ!。

 一箱ならともかく、五箱もかい!。


 タメ口野郎の、一生置いておいてくれと言う、無謀で強引な強制的な発言。

 オレは、ヤツの発言がとても気になり、

 そのダンボール箱を開ける事にした。


 そして、箱を開けると・・・

 無言の唖然とした空気がオレを包んだ。

 オレが目にしたのは、単なるゴミだった。

 凄い悪臭が漂う、残飯や、食べた後の弁当の容器とかが満載に入っていた。

 お、おい!。

 ただのゴミかよ!

 オレの部屋はゴミ箱かよ!

 すげーーーサプライズだな!。

 単なる、嫌がらせじゃねぇーか!。

 もしかして、オレに「 捨てに行け! 」とでも言っているのか?

 もう呆れて口がふさがらないオレだった。


 オレは、仕方なく、五箱のゴミの入ったダンボール箱を持ち上げ、捨てに行くことにした。

 オレは、アイツのメイドかよ!。お手伝いかよ!。

 ゴミぐらい、自分で捨てろや!。

 どんどんとイライラして行くオレだった。


 -----オレは、ゴミ置き場に向かい、ふと気がつく。

 てか?ゴミ置き場って何処だ?

 ゴミ置き場の位置がさっぱり分からん。

 来てから、探した事もないし、聞いたこともない。

 すると、道の隅に立っている看板を目にした。

【 ゴミ捨て場は、坂道を下ってすぐ右 】 と、看板には書いてあった。

 えっ?。

 坂道を下って?。

 オレは前を見ると、急な坂道が三本ぐらいに分かれていた。

 お、おい!。どの坂道だよ!。

 三つの枝状に分かれた三本の道。

 とりあえずオレは、真っ直ぐな坂道を選び、下って行く・・・


 -----そして、坂道を歩いて十二分が経った時、やっとたどり着いたゴミ捨て場。

 オレは、五箱のゴミを降ろし、額に流れた汗をシャツで拭う。

 思ったより距離があった。

 歩いて十二分のゴミ捨て場って、どんなに遠いんだよ!。

 ってか、あのタメ口野郎!、

 ただ単に、ゴミ捨て場が遠くて、行きたくないだけじゃね~かよ!。

 でもオレはムカつきながらも、一瞬だけ、コンマ一秒だけ、アイツに感謝した。

 それは、初めてゴミ捨て場を知った感謝だった。


 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る