第29頁目

「え・・・?」

 目に火花散る勢いで、サンドバッグの固定チェーンをぶ千切り、オレに投げつけた・・・

 お、おいおい!。そんな重いもの、投げつけられる力があるのか?

 おい待て!・・・

 ビュゴォォッ

 っと、風を切りながらサンドバッグが、オレの顔を狙って飛んで来た・・・

 

 その時、再び勝手に身体(からだ)が動いた。

 えっ?。

 また、身体(からだ)が勝手に動く・・・

 

 オレは、飛んできたサンドバッグをいきなり飛び越え・・・

 ムーンサルトで、その女性に空中で蹴りを連打した・・・

 が。

 オレは、飛びすぎて縦三連に連なるタイヤに直撃してしまった・・・

 と、

 強打した足の痛さと共に意識が薄れていく・・・


 ・・・だんだんと意識が薄れていく中、女性がやさしく手を差し伸べてくれている。

 オレも手を延ばし・・・手をつかみ、握り締めた。

 朦朧としているが、足は痛い・・・

 が、突然に、

 ドシャシャァァァァーーーン!

 と目の前で折れた大木が紙一重でオレの横で倒れた。

 オレの蹴りで折ってしまったらしい・・・

「なかなか、やるわね。ただの覗き魔かと思ったら、拳法の達人なのね。それとも体操の選手なの?・・・」

 女性の笑顔が、薄れていくオレの意識を戻す。

 ・・・えっ?、オ、オレって、拳法の達人だったのか?えっ?体操の選手?

 断片化された記憶の中には、昔の自分の記憶が無い。

 起こし上げられ、その女性の目の前に立つ。

「私の名前は、『 最強女 逢羅( もしめ おうら )』と言うんだ。よろしく!!」

 さっきとは、違った目つき。心から笑顔している目だ。

 ん?名前・・・

 おしめ?

 おしべ?

 もしめ?・・・変わった名前だ。

 もしめオーラ。か・・・

 もしや?この女性もボロアパートの住人か?

 とりあえず、ボロアパートの方を指を差し、

 とりあえず、挨拶をしておこう。

「昨日、あの方向にあるアパートに引っ越して来た『藤沢 優紀』と言います」

「おおっ!私もあそこのアパートなんだ。空いていた部屋は、一つしかなかったから・・・じゃあ、五号室の人だね?」

 五号室の人でまたもや覚えられてしまった。

 まあ・・・なんて言おうか・・・

 すっげぇ名前ばかりが集まったボロアパートだな

 とても、ありえないしww。

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