第30話 すごい男、ダイビングで事故る!

 ドゥマゲティ空港に降り立った私、Sさん、Oさん、Y君の四人は、例によって肩車船渡しによってバンカーボートに乗り込むのでした。


 ここまで我々は和気あいあい。仕事の話なんてもちろんしない。っていうか、そんな気分じゃない。みんなうきうきしてます。


 うん、まあ、こういうのもいいよな。


 私は素直にそう思いました。ダイビングに仕事を持ち込まれるのを警戒していましたが、誰もそんなこと考えてもいない感じ。

 まあ、そりゃそうだよなあ。こんな青い空と青い海に囲まれて、なんで仕事のことを考えなきゃならんのだ。


 そして目の前にリゾートが見えてきたとき、みなの気分は絶頂に達しました。

 着岸するやいなや、Sさんが一番乗り。


 ずるっ。


 Sさん、すっころんだ!

「わはは」と笑いたいところですが、マジで痛そう。

「だいじょうぶですか?」

「だ、だいじょうぶじゃねえ」

 Sさん、足をくじいた模様。


 まったくもう、楽しい気分に水差すんじゃねえよ。


 しかしすごい男、Sさんは、このあとめげずに1本潜る。

 さすがに2本目はパス。

 だが夜はふつうに飯を食い、笑いながらビール飲んでました。

 次の日も潜らず。我々は気にせず、ダイビングを堪能しました。


 夜、マニラに帰った後、救急病院にいく我々。

 遅い時間までSさんの付き添いで病院にいると、とんだ休日だった気分になってくるというものです。

 診断の結果……、


「骨折です」


 唖然とする我々。

 骨折してダイビング。酒飲んで、次の日まで病院にすら行かない。


 冗談ではなく、この人はすごい男だった(笑)。



 ※数年後、私は紅海へ行き、ボートの上で滑って転んで足をくじく。そのあと、しっかり全ダイビングを終えてから帰国しました。


 南野メモ。

 ダイビングでもっとも多い事故。

  ★すべって転んで怪我をする。

  次点、抜いたダイビングナイフを戻そうとして、足を刺す。(いや、マジなんです、これ)

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る