第11話 お箸

ピンときた。

ようやく巡り会えた。


天然木で作られたお箸には 白地に

「絆」を表す 結び目の模様が入っている。


隣には 色違いのものが

ちゃんと並んでて。


お揃いのお箸を使いたくって


「どう?」。


返ってきたのは


「俺はいいや」。




半分 分かってはいたの。

でも 半分は期待してた。

向かい合ってごはんを食べる時

貴方の右手が 私とお揃いのお箸を持つ景色。


正直ガッカリしたけれど

貴方の答えは 間違ってなどいない。

だって 貴方のお箸は

まだまだ使えるし まだまだ新しい。


使えるのに買い替えるのは勿体無い。


そう思える貴方なら

お箸も大切にする貴方なら

私のことも ずっと大事にしてくれるよね。



でも やっぱりちょっと残念なのよ?

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