第8話 二層式洗濯機



私が穏やかに生活出来るのは、

忙しく働く彼のお陰。


専業主婦の私は、

今日も二層式洗濯機を回す。


全自動洗濯機では味わえない手間が

幸せのスパイス。


脱水をしている短い間は

足を上げてストレッチ。

お陰で昨シーズンきつかったスカートが

するりと入るようになった。


重くなった洗濯カゴをもって二階へ。


彼の裏返ったパンツ。

彼の裏返ったタンクトップ。

彼の裏返った靴下。

ひとつひとつを表に返して干していく。

「大好きです」と、愛情を込めて。

「お疲れ様です」と、敬意を込めて。

「いつもありがとう」と、感謝を込めて。


きっと伝わっている。

彼は言ってくれるもの。

「洗濯物、ありがとう」って。


だから、私はこう返そう。

「任せて!」

貴方のために 洗濯機を回すことは、

私が幸せな証なのだから。





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