二回戦~竹の間~
第一回戦終了
「さて、第一回戦が終わりましたが……。確かに今までより町中とかの描写が多い気がしますね」
皆、テーマに沿ってくれているようでなによりだな。グガハハハ。
「そんな中、いつものノリをやる熱海魔王軍接待委員会会長さんもある意味すごいですね」
今回はWEBノベル作家の内面の闇に寄ってるがな。グガハハハ。
「欲しいお土産欄やら、ドラゴンが完全にトカゲになってたりやらおかしい点が多々あるが……なんか触れるとややこしい事になるからやめとくべきか」
「魔王様、ツッコミはともかく料理は持ってきましたか?」
「ともかくとか言うな。一応持って来たが、こんな雑用を我にやらせるでない。まったく……」
とか愚痴を言いつつきっちり仕事をこなすとは、魔王の育ちの良さを垣間見えるな。
「……さて、会長さん。料理も運ばれてきましたので一度、熱海の魅力をお伝えいただけますでしょうか?」
うむ。熱海は日本有数の温泉地で、古くは奈良時代から湯治の場として利用されていた。肌に優しいその湯は長きにわたり日本人を癒し続けたのだ。そして熱海は美しい自然を楽しめる場所でもある。温暖な気候であるので草花も多く、様々な場で富士山も望める。何より、熱海はその名の通り海に面している土地だ。夏に海水浴を楽しんだりオーシャンビューの部屋で優雅な夕食を楽しんだり。……熱海はまさに、日本最大の癒しの園と言える場所なのだ。
「突然観光雑誌を斜め読みしたみたいな説明を入れてきたな。それ、モノマネ大会で言うような説明じゃないと思う」
「ここら辺で熱海の説明入れとかないと、私たちが熱海にいるって感じが薄れると思ったので」
「もっとシンプルな描写で場面を作れば済む話だろ」
……ちなみに熱海は海沿いのため、海鮮料理も新鮮だ。それらを駆使したレストランや料亭で美味しく食事することも、旅行をより楽しませる大事な要素であろう。今回参加者たちに振舞ってる料理も、サハギンが裁いた新鮮な海鮮丼を中心としたフルコースであるぞ。三ツ星を獲得した豪華な料理を、とくと味わいたまえ!
「どこで貰った三ツ星なんだろう……。あとサハギンが海鮮料理作ると、ちょっと共喰い感出てくるから嫌だな」
「でもおいしいですから私たちは気にしません。ゾンビさんとかも、先ほど海鮮丼50杯目を完食しておかわりしているみたいですよ」
「なんかゾンビ、早くも食い過ぎじゃないか? 我がさっき持ってきたばかりだぞ」
「ゾンビさんは前回、味覚を手に入れた影響があるのかも知れませんね。彼って死んだ人間から復元されたアンデットですし、死んだ影響で消えてた味覚が戻って嬉しいんでしょう」
「だからって限度があるだろ、限度が。50杯も海鮮丼を食ったら胃が破裂するぞ!」
よーし。という訳で熱海の説明は終わった。この後は参加者で食事をしながらモノマネ大会を嗜もうではないか。
「はぁ……。しかたない、我も海鮮丼を食べて気分を落ち着けるか」
「あ。その前にゾンビさんのおかわり持ってきてあげてください。魔王様は料理スタッフですから」
「――」
「あと何人かが次のメニューを要求しているみたいですね。それとエルフさんの席のビール瓶と……あぁ、皆さんが追加注文色々してるみたいなので順番に聞いてくださいね」
あぁ、あと二次会でカラオケに行きたいからどっか良い場所探してくれないかー? なんか魔王の権能で、ちょいちょいって予約しておいて欲しいのだ。
「――貴様ら、ボケの域を脱してウザい上司になってないか。もし我にチートがあったら、速攻で焼き尽くしてるからな!?」
……と言う台詞を残して、魔王は宴会場の外に出て行ってしまったな。
「でもきっちり注文メモは取ってたので料理は持ってきてくれると思います」
やはり魔王と言う種族は、こういう細かな部分で育ちの良さが出るパターンが多いな。まぁ我が輩も調子に乗りすぎたから、夏季休暇ぐらいはちゃんと与えておこう。
「そうですね。まぁとにかく、第二回戦を始めましょうか」
グガハハハ。では料理に舌鼓を打ちながら楽しもうではないか。
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「――ふん、愚かな糞インプめ。だがこの程度で挫ける我ではないぞ。覚えていろ、次の料理が運ばれたとき……我が力を見せてやる!」
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