一回戦感想&二回戦開始
「さて魔王様、今回の一回戦のモノマネはどんな感じでしたか?」
「モノマネより、名前欄の『食べたい物』って何!? 気になってモノマネが頭に入らなかったぞっ!」
「今回はアンケートをとって、参加者の好きな物を確認しました。優勝者には副賞として好きな物を食べさせる予定です」
「狂った要望がいくつか混ざってた気がするけど!? 勇者食べようとしてたり検閲されてたり!」
「勇者を食べるのは、捕食スキル持ちなら一度やってみたい夢ですからね。検閲は……まぁエルフならよくある事です」
「この世界のエルフ、大分歪んでる! なんでエッチな小説っぽいキャラ設定なんだ!?」
「ついでに言うとエルフさんの提示した物と、商人さんの思い出の料理は同一だと言う事をご報告します。まぁ商人さんの書き方なら検閲されませんけど」
「そんな夢の無い情報、聞きたくなかった! それとゴースト、我の魂食べたいって言ってるけど大丈夫か!?」
「え、知らなかったんですか? ほら、前からお忍びでゴーストさんと人間の町に行ってたでしょう? それを何度も繰り返しているうちに、いつしか腹の鼓動が抑えられなくなったそうです。恋の始まりを予感させますね」
「胸の鼓動なら恋心っぽいけど、腹なら食欲だよね!? 危険だよね!? こうなったら、ゴーストは速攻で失格&リストラだっ!」
えー。ゴーストは我が輩とは闇の同盟組んでるから、リストラとか失格はさせたくないぞ?
「はい、じゃあ地位の高いインプ様の意見を採用しますね。魔王様は心の準備だけしてください」
「インプをはじめ、周囲が我を殺しにかかってる……。やはり我は近いうちに消えるのではないか……?」
「いやぁ、でも四回目だというのに勢いが良くも悪くも変わりませんね! ゴブリンさんやサハギンさんなど、王道の安定感。新しく出たジャックさんなどが披露する新ネタ。色々な方向性が見えますね!」
「そういえば、今回は常連の姫とかがいないな。ネタが思いつかなかったか?」
「いえ、姫は産休です」
「大分リアルな事情だった」
「ですので今回は、夫のミミックさんが新ネタを引っさげて頑張ってますね。彼も人間国の王位継承権を持っていますし、今回を輝かしい未来の一歩にできるといいですね」
「……あいつ、王位継承権あんの!? 箱だぞっ!」
「もちろんです。姫と結婚したんですから」
「だ、だが。人間国は敵国で……」
「あぁ、魔王様はやっぱり聞いてないんですか。それなら第一回大会の後に革命されちゃったのでもう和解済みですよ」
「いつの間に!? コボルトが真似したLv1勇者の仕業か!?」
「はい。そのどさくさで旧王家の派閥が、ミミックを始末する暗殺者を差し向けてきたりもしました。ほら、今回も登場してたでしょう?」
「あいつ、狙いは我じゃなくて箱だったんかっ!? ……てかよく見たらあの暗殺者、前回の洗脳が解除されてねぇっ!」
我が輩の洗脳を解除されてもあれほど信仰するとは、立派だな! 今度サインでも送ってやろう! グガハハハ。
「黙れ諸悪の根源!」
「ではそろそろ次を始めましょうか」
「あ、あともう一つ質問させてくれ。レギュラーだったドラゴンもいないが、奴はどうした?」
「単純にオーディションに落ちました」
「暗殺者すら通すユルユルオーディションに落ちたのか……。どんなつまらないネタやったんだアイツ」
「ネタと言うより、足腰がふらついてて鱗もかさかさで表に出せない状態だったんです。多分芸人業の収入が無くて、一週間何も食べてなかったんだと思……」
「よーし、さっさと進めよう! あとでドラゴンと収入の個人面談がしたいからなーっ!」
魔王よ、確かに誰かを気遣う気持ちも権力者に必要だ。だがそんな上っ面の同情だけでは誰も救えぬぞ……。グガハハハ。
「黙れ諸悪の根源!」
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