第91話 岩山と地震。
レイクサイドの温泉の町を出て向かったのは火山だ。
ごつごつした岩の塊みたいな山をえっちらおっちら登っていく。
モリーは滑空しながら僕らのちょっと前にいったり後ろをついてきたり。
と言っても自分で飛んでるんじゃなくてムササビっぽいのに乗っているんだけど。
ムササビってネズミ
モモンガと同じくらいかと思ってたんだけど意外と大きくて、モリー一匹余裕で乗せてるんだ。
モリーの鶴の一声で飛んできて運んでくれてる。
凄いなあ長。
「はあ、ふう、」
「大丈夫かい、さ、掴まって!」
「は
ゴツい岩の上を軽く跳んで先に立ったカインさんが差しのべてくれた手に掴まると、ぐっと引かれて深く裂けた岩場を僕も跳ねるように移動した。
比較的なだらかな面を選んで歩くけれど、時折今みたいに谷のように裂けた場所があってそうするとカインさんが手を引いてくれる。
その
何回目かそうやって岩の谷を飛び越えた時、ズゴゴと地面が揺れた。
「うお、っと」
「わわ、ありがとうございます、カインさん」
足を踏み外しそうになったけれど素早くカインさんに腰を抱き取られて助かった。
「…今の、地震?」
「そうだね。ここは活火山だから…そんなに珍しくもないんだ。けど、…いや、急ごうか」
「はい…。行こうモリー」
「ヂュ!了解じゃ主っ。ヂュー、ゆくでムサビー!」
足を早めて頂上を目指す。
余り離れないようにしながら転ばないように先を急いだ。
火山の頂上に近づくごとに気温が上がるようで、二人とも額に汗しながら登る。
山の中腹を越えて頂上手前の窪地で足を止めるまでに何度か揺れがあった。
「…今日はここで野宿としよう」
地震に不安はあったけれど一日で火山を越えるのは無理だとわかる。
「そう、ですね。じゃあご飯の支度しますね」
「うん、頼むよ」
「はい!」
僕は亜空間収納から食材を取り出していき、カインさんが石を並べてかまどを作る。
森や林が近ければ薪を集めるのも簡単だけどここは岩山だからな。
デリカ先生に魔力操作をご教授願った時に練習で採取した木…ドライアドの素材があって良かった。
収納から取り出した木を燃えやすいように小さなナイフで切る。
でも上手く切れなくて電動ノコギリのイメージで風魔法を使ってみると思った通りに切れた。
カインさんが作ってくれたかまどにヤマの町で買った炭と一緒にくべて今度はマッチのイメージで小さく火魔法を使う。
種火はスムーズに燃えて、ほどよい焚き火になる。
日本で使った日用品のイメージがあるお陰で色んな魔法が使いやすい。
いちいち手元に魔方陣が姿を現すのもゲームのエフェクトみたいで目に楽しかった。
カインさんがちょっとため息ついてたのは気のせいです、うん。
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