第76話 魔道具の作り方。とは。
自警団の仕事は他の人が代わりにシフトを埋めてくれるのでなんとかなった。
帰ってきたらお礼にクッキーとか作る予定(甘いもの好きな人だった)。
でもお風呂のお湯を沸かすのは魔力量が足りずに毎日できる人がいないんだ。
王都からや他の街の人も来てるんだけど毎日やってたら枯渇するって。
「どうしよう……」
「魔道具があれば魔力効率よくできるんだけどね」
食事しながら悩んでるとお腹を壊すよって苦笑と共に言われて瞬く。
そういえば魔道具って便利なものが…!
あっでもないんだよね。
…………作りたいな。
ちろ、とカインさんを見たらしまったって顔。
「僕の代わりにお風呂沸かしてくれる魔道具作りたいです」
「………やっぱりか。えっとでもさ、魔石もないよ?」
「あ゛」
王都で買おうとしてたんだった。
でも買い取り屋さんにはあるんじゃない?
「あー、………じゃあ行ってみる?」
「はい!」
お皿の片付けもシフトを組んであるので今日の係りの人に任せて買い取り屋さんへ。
「…あー惜しかったですねぇ、先程すべて売れてしまったんですよ」
「ええっ!?そ、そんなぁ…」
なんということでしょう。魔石は既に売り切れていたのです。
ど、どうしよう。orz
「………君自身の魔導石ならあるだろう」
「……あ!」
店を出て歩きながらカインさんがぽつりと言った言葉にはっとした。
そうだよ魔石より強力らしい魔導石は持ってるんだ。
流通をぶち壊す威力の………いいのかな使っても。
「一応見られないようにこっそり作るように」
しかつめらしい顔をつくって言うカインさんのその後の言葉にドキッとする。
「もちろん何かあっても俺が守るから安心して」
真剣な顔もいっぱい見たことあると思ったけど今の顔はなんか凄く。
「…?顔が赤いけど具合が悪い?王都に行くの延期するかい?」
「はっ?いえいえ、大丈夫っす!」
「本当に?」
「本当っすハイ!」
「絶対無理しないで言うんだよ?」
「…あい」
寮に戻って自室で作業することにしたんだけど心配したカインさんが立ち会うことになりました。
まずは亜空間収納に入れっぱなしの魔導石を取り出す。
「えっとお湯を沸かす魔導具だから火の属性かな。あ、でもいつも光で魔法使ってたな」
「火属性でいいんじゃない?あんまり希少な属性を使うより一般的なものを使った方が目立たないんじゃないかな」
「なるほど。じゃあ火の魔導石で」
石を手に取って沈黙する。
僕、作り方知らないのでした。
イメージだけで作っていいのかな…それだと僕しか扱えない気がするんだよね。
「魔導具って魔法を使うイメージで作っていいんですかね」
「…うーん、君が使うだけならそれでもできるだろうけど汎用性はなくなりそうだね。普通の魔導具は魔術を使って作るんだよ」
「魔術?魔法とは違うんですか?」
「魔法は魔力を直接使う方法だね。魔術は
腰のベルトに挟んである魔拳銃をよく見てみると魔石をはめてあるところの周りに確かに呪文らしき文字が書いてあった。
「ホントだ…ちゃんとここに魔力を弾丸にして撃つって…ん?」
「どうしたんだい?」
「あの、魔力を弾丸にして撃つの後に属性を指定って入ってるんです」
「え?」
無属性で使う魔拳銃のはずだったのにどうして属性を指定することになってるんだろう。
そう思って首をかしげているとじっと目を凝らしていたカインさんが何かに気付いてため息を吐く。
「カインさん?」
「…ここよく見てごらん。他の文字より新しい。山の洞窟で君魔拳銃で氷の魔弾を撃っていたよね?それで無意識に書き込みしていたんだと思う」
「え゛」
「しかも複数の属性を合わせて作るとも書いてあるからこれはもう君専用だね。君以外で複数の属性を持ち複合魔法を使える人は聞いたこともないよ」
「あ゛」
やっちまったーーー!
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