第33話 目覚ましは絶叫。
わずかな隙間から入ってくる朝の少しひんやりした空気を感じて肩を竦めて布団にもぐる。
手近に温もりがあったのでそれにすり寄ると包み込むようにされてはふ、と息を吐き力を抜いた。
起きる前のうとうとがたまらないんだよね。
暖かくて気持ちよくてずっとこのままでいたくなる。
「…そろそろ起きないと」
「んぅ、やぁー…」
暖かいものが起床を促してきたけど知ったこっちゃない…、しゃべった?
「…?」
そろり、とまぶたを開けると整った顔が僕を覗き込んで。
「あ、起きた?」
異世界にやって来て、行く宛もないのでお世話になり、つまり。
「アひゃxfぐえthklkgws@∀@!?」
「…起きた?」
「ふぁい、おはようございます…見苦しくてすいません」
もとの世界では寝起き良かったのに…恥ずかしい。
えーひとつのベッドで眠ったことを思い出した僕は床に落っこちて覚醒するという斬新な目覚めを体験したわけです。
学ランは目立つのでカインさんの服を借りたんだけど、何度も折り返していなければずるずる引きずって松の廊下でビッターンをやらかしかねん。
今日は普段着る服などを調達しようかな。
借りっぱなしじゃいけないし毎度折り返すというのもこう…へこむからさ。
1日たってやっと持ちもののことを考えたよ。
これはいわゆる装備品!
是非とも買い出ししなきゃだよね。
昨日はもうお腹を満たすことでほぼいっぱいだったし。
生活するにはまず仕事!って…その前に日用品だよなー。
やっぱりまだ混乱してるのか考える余裕がなかったんだな。
僕の魔力をためた魔道石のお陰でお金はあるのだ。
仕事を探すのも続けるけど服を変えてこの世界に馴染んでいかなきゃな。
ありがたいことに既に知りあいと言える人が助けてくれる人がいる。
いずれ恩返しができたらいいんだけど。
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