No.1686.溝鼠

リスク承知で賭けてみて見事に負け犬になっちまった

失うだけ何もかも失って

lostした人生は下水の中に消えていった


すれ違った女子高生に笑われた気がして

恥ずかしくなって走り去った


コンビニの帰りアパートの前の排水溝に逃げ込んだ

一匹の溝鼠と俺の目が合った

汚物にまみれてもゴミを漁ってでも生き延びているおまえ

汚い バイ菌だらけかもしれないけども

それでも 生き残る為にかけずりまわる

愛する者も失って目的も失ってしまった

今の俺とどっちがましなのかな


五体さえ満足に動かないこの状況はヤバイ

右足は痺れて麻痺してるし

喉が渇いたけど水を飲む勇気もない


目が合った女子社員に睨まれて凄まれて

たじろいて後ずさりした


この手には何もない 自分自身にも愛想つかして

気力も何もこそぎとられて

全てがどうでも良くなって

やけくそになってこの身は四散した

あの時出会った溝鼠がじっと俺だったものを

少し離れた路地から眺めていた

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