No.571.gray

目覚めても まどろみの中 草原にみえる灰色の少女が微笑む

かすかに動く 口元を見つめても 声は聞こえない


飢えきった眼差しで 荒野をさまよい続けた

ふと 気がつけば 側によりそうものを失っていた

幾年月も 孤独の波に さらわれたまま

指先も 何もかも 乾き かさかさ


激しい砂埃に 翻弄され

よろめき 力尽きる ざらざらとした 嫌な感覚のまま


気がつけば 血みどろの闇 遠い空から 灰色の少女が舞い降りる

幻想なのか 現実なのか 区別できない


冷え切った 体温が 火照りを誘いはじめる

手を眺めてみると 一輪の花を握っていた

果てのしれない 悲しみの慟哭に 包まれたまま

心のよりどころさえ 砕け 粉々


苦しみ のたうちまわるだけで

渇望し続ける 毒々とした赤い獣のまま

内側から 死の灰が 増え続け

いつしか 灰褐色の塵とかす

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