No.499.忘れたはずの片思い

疲れきった 乾いた体 部屋に 投げ出してみれば

いつのまにやら 夢見心地


突然 頭の中に あらわれたのは 八年前のあの娘

三年前のあの日を 最後に 顔もあわせてないのに

なんで 今頃 なんで


うずきだす 恋の炎 かすれかけた情熱

すこしづつ ほんのわずかづつ ゆがみはじめる

仕事もなんだか 手につかない感じ


どーしたものか 行き場のない やるせなさ

いかれだしそうな 揺さぶりの眼差し

なにが したいのか なにをしたいのか

行動指針も定まらず


過去の片思いの虫が あたり一面 這いずり回る

浸食された指先 爪は赤銅色に濁り

記憶は 透明に 透きとおる


疲れ癒えぬ 魂は 殻を破れず

ただ もがき もだえ

いくあてのない ぎとぎとした 霧にまみれる

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