No.339.肌

音楽かけっぱなしで 浅い眠りに揺られている

誰かと特別な関係になる事もなく 静かにたゆたう

湯気のでてるコーヒーを眺めながら パンにかじりつく日々


足りない物が何かもわからず一人縮こまってしまう

雨音で目覚めて 妙に孤独を実感してしまう


寂れた銀色のジッポで タバコに火をつけ一息

斬新な真実を見つけられないまま 窓にうつる月がやけに眩しい

何もない部屋には人の温もりもないまま 埃が舞う


テレビさえ色もなく味気ない ラジオさえ唸らない

ガラクタみたいな継ぎ接ぎだらけの絆にうんざりしてみたり

夢のない夢を見ているようで 時折恐くなる


爪に残った傷跡を見る度胸が締め付けられる


愛の注がれないグラスを 握りしめ飲み干しているだけ


「あぁ 今日もまた眠れない夜がやってくる。

こんな時は あの娘の膝枕でうとうとしたい。あの娘の肌を感じたい。」

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