127日目:ミアさんと大蟹。
神聖歴六一〇二年・
昨日から海岸洞窟ダンジョンを探索しています。
といっても場所は第一階層の比較的浅いところが中心です。
ミアさんの実力が分からないのに危険な奥へは進めません……。
とか最初は心配していたんですが……ミアさん凄く強いです。
今も
盾で攻撃を受け止め、態勢が崩れた大蟹の足関節の隙間を三叉槍で貫く。
それら一連の動きにまったく無駄がありません。
というか、なんであの攻撃を受けて平気なんでしょう?
大蟹はその名の通り巨大な蟹です。
足を伸ばせば見上げるほどの大きさになります。
その高さから勢いよく振り降ろされる鋏は容易に防げる筈がないんです。
けれど、ミアさんはそれを難なく盾で受け止めてしまいます。
彼女の細い腕の一体どこにそんな膂力があるのか……。
なんて思っていたら、今度はその盾で大蟹を殴りつけます。
衝撃に耐えきれずピシッと罅が入る大蟹の甲殻。
シールドバッシュ!? 盾を打撃武器として戦う技術ですけど……。
ミアさんって本当にただの漁師なんでしょうか?
ノアさんみたいに元冒険者といわれたほうがよほど納得できます。
そうして始終ミアさんが大蟹を圧倒し戦闘は終了。
ほとんど手助けすることはありませんでしたね。
因みに今ので倒した大蟹は二〇匹目になります。
倒した大蟹の横でニコニコと笑顔で舌なめずりをするミアさん。
蟹にゃ~大好物にゃ~とか言ってますけど……それ全部換金しますよ?
少しでも早く船の修理費用を貯めるんですから。
その後、地上へ向かいつつさらに大蟹を一〇匹ほど討伐しました。
今回は様子見の予定だったので早めに撤収です。
けど、これだけミアさんが動けるなら次回はしっかり準備して来ましょう。
今のパーティならかなり深い場所まで探索できる気がします。
ふふふっ、上手くいけば修理費用以上にお金が稼げるかもです!
ダンジョンを抜け、冒険者ギルドに着いたのは夕方頃でした。
受付へ行き筋肉お兄さんに大蟹を換金してもらいます。
五匹は依頼品として納品し、残りは全て売却です。
……ミアさん、そんな泣きそうな顔をしないでくださいよ。
って、なんでノアさん達も残念がってるんですか!?
わ、私だって食べたいのを我慢してるのに! もう!
受け取った報酬の九割はミアさんに渡しました。
私たちの取り分は最低限の金額です。
本当はもう少し取ってもいいんですけどね……。
でも、この調子なら修理費用はすぐに貯まると思います。
さて、今日はもう宿へ帰りましょう。
……あ、その前に錬金術師ギルドへ行かないと。
しっかり抗議してやるんです!
それが終わったら蟹が食べられる宿でゆっくりです。
……いいじゃないですか! やっぱり食べたいんです!
え? ミアさんも一緒に来るんですか……。
構いませんけど……自分の分は払ってくださいね?
今日の収支
銀貨:+45枚(ミアさんへ支払い後の依頼報酬など)
-4枚(宿泊費×3+ソシオ)(寝床☆、食事☆)
-4枚(蟹食べ放題+酒代)
――――――――
残金:金貨5枚、銀貨71枚、銅貨91枚
猫銀銭190枚
(^▽^) 蟹さん美味しいのです!
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