洋服売りへの道

第18話 洋服屋

自分はファッションコーディネートを考えるのが楽しくなっているのかもしれない。

そんなことに気付いた時、それを試す機会がやってきていた。


実は、大学3年目の末、2つ目のバイト先だった大型電器店をクビになった。

なぜかといえば...勤務態度が悪かったから。

何より遅刻が多かったから、仕方がない。


先に書いたように、その職場のみんながやる気なさげで、その空気に完全にあてられてた。

徐々に、自分からやる気が削がれていくのを感じていた。

実際にクビと言われた時は、まさか自分がクビになるとはという気持ちと、クビになってよかったというよくわからない気持ちの両方があった。


で、クビになってどうしたか。

次のバイト先を探すわけだけど...重点的に探したのは、なんと洋服屋だった。

自分は洋服が好きなのかもしれない、と気付いた。

だったら、一度くらい洋服屋で働いてみたいな、とそんな軽い気持ちだった。


でも、そこからが大変だった。

最初からずっと書いているように、わたしはコミュ症だ。

コミュ症だって言ってる人間が、洋服屋で働くって...。

よくよく考えてみればおかしかった。

でも、当時の...いや、もしかしたら今の自分もそうかもしれない。

やりたいと思うと猪突猛進で物事を進めてしまうところがあるんだな。

コミュ症がどうとかという気持ちより、とりあえず洋服屋で働きたいという気持ちが圧倒的に勝っていた。


いろいろなお店の洋服屋の面接を受けた。

もっと積極的に発言したほうがいい、なんてレビューをもらったこともある。

それでも、4店舗目の面接を受けた結果...ついに、わたしは洋服屋で働けることが決まった。

某有名アパレル会社のブランドの、アウトレット店舗だった。

自分が一番望んだ場所ではなかったが...それでもやっぱり、決まった当時は嬉しくて嬉しくてたまらなかった。


だが、これはまだ困難の始まりにすぎなかった。

コミュ症の洋服屋の店員であることでの苦労は、想像以上だった。

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