第3話 筋肉
自分が格ゲー(「ギルティギアXrd」)に本腰を入れてやるにあたり、格ゲーマー上級者の後輩――ややこしいので仮にK氏とする――に厳命されたことがある。
それは「ガチャプレイ禁止」。
今までの自分は、(スト2で言うなら)「立ち大P(キャンセル)昇竜拳」という連続技を出すとき、「大Pのモーション中にレバーでは昇竜拳のコマンドを複数回入れつつ、ボタンはバンバン押す」という形で無理矢理やっていたのだ。
言い訳をするなら、これはこれで(プログラムの優しさで)技は出る。が、不発になることも稀によくある。
K氏には「安定したコマンドに安定したコンボは宿る。なにより美しくない」――と、詳細は忘れたがそんな事を言われた気がする。
なるほど。確かに、動画で見たプロゲーマーに、自分と同じようにガチャガチャやってる人はいない。
と、思ってガチャプレイを封じてやってみたら、面白いくらい連続技が決まらない。繋がらない。
脳で次に入れるコマンドは分かっているのに、指がついていかない感覚。適切なタイミングでボタンが押せていないのが自分でも分かる。
そして押したとしても今度はコマンドが正しく入っていないのが判明して愕然とする(余談だけど、今はトレーニングモードのキー履歴表示で原因が分かるの超便利ね)。
若い時の自分だったら、ここで途方に暮れていただろう。
だが、経験と知識を付けた今の自分には、その原因となるものが薄々分かっていた。
それは「筋肉」!
脳の電気信号を指先へ伝え、正確に、そして素早く動かすには指の筋肉の力が必要不可欠ではないだろうか――という直感めいた仮説が私の脳裏を走った。
思い返せば、多少なりとも運動をしていて今より筋肉が付いていた学生時代は、もっと思ったとおりにレバーやボタンを操作できていたような気がする。
だとすれば、話は簡単。
鍛えるのだ。
と、いうことでギタリストやピアニストが使う、指を鍛える器具(バリグリップと言うらしい)を使い、さらに手先の柔軟性を上げるために指回し体操も併用して鍛えること一週間。
以前とは比べものにならない精度で、ある程度複雑なコンボ(例:カイのS→HS→ディッパー(RC)→ダッシュ→近S→6K→スプリットシエル→2D→ディッパー)もできるように!
この時点で「これは俺、中級者の仲間入りしちゃったんじゃないの? コンボ決め決めじゃないの!?」と勝利を確信した自分だったが、それは大きな過ちだった。
(前回でも触れたように)ミカド初級者大会では鍛錬中だったにも拘わらず最下位という成績。それだけでなく、ネット対戦でもあまり勝率が変わったようにも感じられない有様。
「なぜ、なぜコンボを練習したのに勝てないんだ……!?」
そんな焦燥の中、IRCチャット仲間の一人が、「これ見たほうがええで」と、ある動画を紹介してくれた。
その内容を見て、自分は衝撃を受けるのだが――。
次回、「天啓」。
その動画の内容を実践できたら更新予定。
最近、出張やら飲み会で夜にあんまりゲームできないんで……と言い訳しつつ、今回はここまで!
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