甲冑
「えーと、お茶か何か飲みますか?」
俺とこの鎧の人、ヨロイさんはカフェのような場所にて親睦を深めるべく入店した。
カチャっていう金属音と共に首を横に振った。
レーンさんは、「俺は、店の切り盛りがあるからあとはわけぇもんでやってくれ」って帰っていき、俺とヨロイさん2人になり気まずい空気のままこの店に入った。
ヨロイさんは喋らなかった、一言も。
名前はどっからか出したかわからない紙にヨロイと書いてあった。それだけしか情報がなかった。
面倒臭い、を通り越してこの人大丈夫かなって思う。
どれだけコミュ障をこじらせたのだろうか、ガチガチの鎧を着て顔も性別も分からなく返事は首を縦に振るか横に振るかで判断する。
レーンさんに紹介されたっていうのも確かにあるがこの人はちょっとキツイだろ。
とりあえず先生にも会って貰いたい。
ということで先生を呼んだ、と言うより来る予定だった
先生も合流したが話もあまり無くただ気まずい空気が流れていた、変えたのは先生だった。
「取り敢えず狩りにでも、行きませんか?」
なんでそれを思いつかなかったのだろうと思う、名案だった。
と言うよりここから逃げだしたいのだ、この空気からという方が正しいかもしれない。
「それでは2時間後にまた広場で。」
一旦、戻り。装備を整えてからということになった
現在は先生と2人で『踊るナス亭』えと向かっている
「なんというか、独特な雰囲気をお持ちの方でしたね。」
先生が、少し苦い顔をして言った。
「そうですね、せめて顔とか声なんでも良いから自分の情報を開示してくれればよかったんですけど」
対してヨロイさんは自分の情報を開示しなかった。
というか鎧を着て黙ってたら開示する情報なんてないかもしれない。
ただ分かったのは後ろに背負っていた馬鹿でかい剣を使って戦うということだった。
「そう言えば、待ち合わせの場所に向かっている時に皆さんが話していたのを聞きました。勇者様が来たって。それってやっぱりあの子達のことですかね?」
あの子達...つまり、あのクラスの事だ。
だがあのお姫様の腕輪はどうなっているのだろうか
まぁ、気にしてもしょうがないし会う気なんてさらさらない。
彼ら彼女らなら何とかするだろう。
「はい、多分。レーンさんに聞いて見たらマクベリー王国以外に勇者召喚の儀式的な物を執り行った国はないそうです。」
「私としては会いたいなと思う気持ち半分会いたくない気持ち半分ですね。放り投げて来てしまったのですし」
と先生は重くそう言った。
先生として、最後まで見届けたかったって言うのはやっぱりあったんだろうか
クラスの連中と居た方が先生的には良かったんじゃないだろうか。
「大丈夫ですよ、あいつらは俺より強いし。」
そういうことしか言えなかった
でもまぁ俺が職業、スキルが1番使えなかった訳だし。あいつらは俺の数十倍は強いだろうけどね。
それから俺達はなんとも言えないまま、宿についた。
取り敢えずレーンさんに文句を言いに言った。
「そ、そうか?でも面白そうな奴だろ?俺は好きなんだけどなぁ。」
面白そうか判断するほど材料がないんですよ!
「そういえば、今日カノンさん達はどうしたんです?」
いつものならここらで出てくる筈なんだけど今日は話し声等も聞こえない
「ん?あー、買い物?に行ってくるって言ってたぜ。」
ふむ、というかもう支度をしなければ行けないということに気づいてしまった
やべぇ、会いたくねぇ。と思ってしまうのは同じ状況だったら俺以外でもそうだと思う。
レーンさんには話せる人を紹介して欲しいと伝え、先生と待ち合わせ場所に向かう
待ち合わせ場所にヨロイさんはいた、馬鹿でかい剣を持って。
前に入った初心者用のダンジョンの1〜2階でゴブリンを討伐するクエストを受けた。
結果から言うとヨロイさんの1回目の戦闘を見て俺達のパーティーに入る事は決定した、ヨロイさんメチャクチャ強かったのだ
馬鹿でかい剣で相手を抑えてる間に後ろから俺の『鷹の目』で魔核の場所に矢を当てる、まさに完璧だったのだが
なによりヨロイさん1人でも強い。
敵を一撃で真っ二つにした。馬鹿でかい剣で。
凄く重そうな剣をぶんぶん振り回して、どんな筋肉してんだよ!
敵を真っ二つにした時俺と先生は2人で口を開けて呆けてしまったが、仕方ないと思う。
人間ってこんなに重い物持てるんだ...人類の神秘を感じた瞬間でもあった。
そんな訳で仲間となったがよく俺はヨロイさんに鎧をはずしてくれないかと聞いているのだが全部首を横に振られ断わられた
気になるななんて思っていた
俺はこの後直ぐににヨロイさんの素顔を知る事になるとも知らずに。
俺達が街に戻り、待ち合わせの場所を決めてじゃあ明日と別れようとしていた時だった
この街に魔族が現れた。
それも上級魔族が、魔族には下級、中級、上級とありその上に幹部がいて魔王がいるというシステムだ
上級魔族は災害とも呼ばれる強さだ。
つまり、物凄く___危ない状況だった。
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