宿屋
あれから約1週間が経った。
で、俺達は今泊まる宿屋探しだ。
俺のランク上げは非常に順調だ。
昨日、DランクからCランクにランクアップした。
だいたいスライム狩ってたか、薬草を引っこ抜くかの作業のただ淡々と行っていた。
Cランクになると討伐できる魔物が大幅に増える。
ゴブリンとか、ウルフ?だったか分からないけど狼とかね。他にも色々あったはずだがここ近辺で出現するのは大体はこの2体らしい
『踊るナス亭』
今俺達はある宿屋の前に来た、この前に3軒違う宿屋に行ったのだが部屋が空いていないと言われてしまい
適当にほっつき歩いていたら見つけた宿屋
「はいりますか?」
と先生に訪ねたら
「ええ、次は大丈夫ですよ!」
もう、少し日が落ちてきていて二人で焦っていた。
ドアを押すとカランカランと音が鳴った。
「いらっしゃいませ〜!お2人様ですか?」
と元気よく聞いてくる、12歳ぐらいの女の子がいた
「はい、2人で。宿泊したいんですけど空いてますか?」
と俺が聞くと
「うっ、うぅうぇーん!お客さんが...来てくれたよー!お母さん!」
と泣きながら奥に走っていってしまった。
え、ナニコレ?
「すみません、うちの娘がお世話がせしました。」
すごく柔らかい印象を与える30代前半ぐらいだろうか黒髪ロングの美人さんがでてきた。
「いえいえ、何かあったんですか?お客さんが来てくれたーって叫んで言ってしまいましたけど」
俺は気になっていることを聞いた
すると、彼女は
「それは後ほど、申し遅れました カノン・ワーガです。ここは主人と私と娘の三人で経営しています。お腹は空いていますか?そろそろ主人の料理が出来上がる頃なのでいかがですか?」
俺と先生はこれに了承し、テーブルへと案内してもらった。
カノンさんは料理が出来たか聞いてくるとのことで
厨房らしき場所に引っ込んでいった
「それにしても先生、借りてきた猫並みに大人しいですね。双葉さんはグイグイ行く感じでしたけど」
初対面の人の前だとだいたい静かになってしまう先生
「私。初対面の人の前だと喋れなくって、頑張ってはいるのですが...あ!でも慣れると全然平気ですよ!まぁ慣れるまでが長いんですけど...」
落ち込みながら、そう答えてくれた。
「でも、俺は先生のそんなところ結構好きだなぁ。こう守ってあげたくなる感じがグッとくる。」
じゃあこれからもっと慣れていきましょうね、先生!
と言ったら先生が顔を真っ赤にして
「な、な、ななんてことをぉ!」
と絶叫した。
あれ、変なこと言ったかな?ここはサポートする所だと思ったんだけど...はっ!心の中で思っていた読まれたのか!?少々変態チックなことを考えていたから顔に出たのかも!?
ガンッ
と音が鳴ると椅子からぶっ倒れている先生がいた。
「ちょ、大丈夫ですか?!」
先生に駆け寄ると顔が真っ赤だった。
これはもしかして風邪?
「あぁ、もう大丈夫ですよ。海兎くん。」
と言いながら目の焦点は合っていなく顔が真っ赤だったのでやはり風邪かもと思い。
「おでこ、失礼します。」
先生のおでこに俺のおでこをくっつけて熱をはかったら
「
火傷しそうなくらい熱かった
その時、先生がはぅって言って気絶してしまった。
「どうしました?」
とカノンさんが来たようで俺は事情を話した
「これは女性の方がよくかかる病気なのです。取り敢えず予定した部屋にお運びしてきます。」
そういうとカノンさんは先生をよっこらっしょっとって具合に持ち上げて行こうとしていたので
「俺にも手伝えることってありますか?」
「いえ、大丈夫です。私も昔かかったので。対処方はよく知っています。女性なら2度3度とよくかかる病気で大したことは無いので。そろそろ主人が料理を出してくると思うので食べて待っていてください。」
そう言ってスタスタと行ってしまった。
「...恋煩い」
俺は何も言ったのか分からなかった。
小声で言っていた。
なんて言ったのだろう。まぁいいか。
早く治ってほしいな、先生。
椅子に座って少し待っていると料理を持ってマッチョな感じのアフロの人がでてきた。
その人は左目が
冒険者ギルドでよく聞いた話だが、この世界での赤い目は"魔族"を指すらしい。
つまりこの人は...魔族かもしれないということ。
「いらっしゃい、坊主。どした?あぁこれか...」
といい、自分の左目を指しながら言う。
「昔、俺がまだ冒険者やってた頃、魔族と
そんなことが...
俺がこっちで永住する上で一番障害になると思っているのは魔王などの存在だ。
今、俺は弱い。先生の足でまといになるくらいに。
魔族が攻めてこられたら、危険という訳だ。
取り敢えず今はクラスメイトに押し付けているが、いつ倒してくれるかなんて分かったもんじゃない。
「いえ、多少驚いただけです。この世界、目の色がどうとか言ってられるほど甘くないと思うんです。それに魔族って強いって聞きました。それを倒しちゃうことの方がすごいと思います。」
と言い、亭主を見ると。泣いていた。
そして涙を拭くと
「坊主、お前さんイイヤツだなぁ!坊主...いやお前さん名はなんてんだ?俺はレーン・ワーガって言う。ここ、『踊るナス亭』の亭主をやってる。」
「俺は 九条 海兎っていいます。これからこの街に滞在している間はここを使わさせて頂こうと考えています。」
レーンさんが料理をテーブルに置く。
『踊るナス亭』という割にはナスが1品も入っていなかった。
だいたいが肉料理。スタミナをつけろと言わんばかりだった。
「頂きます。」
俺は手を合掌し、食べようとした。
「今の何やったんだ?」
とレーンさんに聞かれた。
そっか、ここは日本ではないのだ。
こんな風習はない。
今までは付きっきりで人がついてご飯を食べることが無かったからな
「これは、俺達の地域で伝わっている風習ですよ。食材に感謝をしているんです。」
「へぇー、いい風習だなそりゃ。」
そっから、食べて食べて食べていた。
レーンさんが自分用にお酒を持ってきて、飲み始めると次第に酔っていき。
愚痴だったりとを聞かされていた。
「飯は、なんていうか冒険者やってた頃の知り合いが食いにきてくれるんだけどよ、皆家庭があるから帰っていっちまう。それ以外客なんて一人もこないんだぜ?!カノンとカレンにはいつも迷惑ばっかかけちまって申し訳ねぇ。俺の左目のせいで、客を寄ってこない、もしかしたら経済的にくる呪いだったのかもな。」
俺はなんて言っていいか分からなかった。
「それにしても、オレの嫁さんと娘はべっぴんさんだろ!?海兎をそう思わねぇか!?」
「へ?」
やっぱり酔ってるよこの人。
シリアスムードから一転して、自慢をしてきた。
「カノンは、世界1だしそっから生まれたカレンはもう天使だ。」
もう天使って何言ってか分かんないんだけど
「あぁそうだ。カノンから聞いたのは2人だったはずだけどもう1人はこれか?これ」
と、小指を立てて聞いてきた。
何処の世界でも酔っ払ったおっさんがとる行動は変わらないらしい。
「いえ、そんな関係ではありませんよ。教師と生徒ですよ」
「またまた〜、んでな。カレンがさ〜最近胸がでてきたもんで下着を買おうかみたいなのを悩んでたんだよ、カノンはでかいからカレンも大きくなると思うんだけどよぉ」
いきなり話が変わってよく分からない話になった。
その時だった、背後に寒気が走った
「でよ、カレン自分で胸揉んで....やんの 」
俺とレーンさんはガクガクと身体を震わせながら振り向いた。
するとそこにはすごい形相のカレンさんが...
「おとうさん?何の話してるのかな?」
ガシッとレーンさんのアイディンティティであるアフロを思いっきり鷲掴みし、引きずって奥の方に向かって引っ張られている。
「カ、カレン?いやなぁ?お父さんカレンが心配だったんだよ?」
と震えていた。
「うふふふふ。大丈夫だよお父さん。ちょっとだけだからちょっとだよ」
何がちょっとなのだろう...俺も部屋に戻ろうかな〜
ガタッ
ピクッ
立とうとしたらかなりでかく音がなってしまった。
いや、うん。俺何もしてないじゃん?
のーぎるてぃー。
だと思うんだ。
「お客さんは座って待っててくださいね 」
ニコッとした、確かに可愛いと思うんだ
だから後ろから出てる阿修羅像を消してくれると嬉しいなぁなんて...。
ゆっくりとゆっくりと1歩ずつカレンさんは奥のお仕置き部屋(厨房)に歩いていく
そしてあと1歩でお仕置き部屋に入ってしまうところでレーンさんが叫んだ
「なぁ!海兎!俺達一緒に性癖を話し合った!言わば義兄弟の契りを交わしたも同然!助けてくれぇえ!俺はまだ死にたくない!」
死にたくないって大げさな
性癖を話し合ったとか言ってるけどあっちで勝手に言ってただけだから!
「お客さん、お父さんなんて言ってました?」
それもまたすごく可愛らしい笑顔でニコッとした。
ただ、後ろの阿修羅像をにこってしたのだ
「は、はい!『俺は脚が大好きなんだよなぁ、カレンは丁度いい肉付きでもう舐めまわしたいぐらい綺麗だ』って言ってました。」
正直に暴露した。まぁこれが運命だと思って、頑張って下さい。
俺応援してます。
その後、悲鳴と死にたくないって声が聞こえてきたが俺は両耳を指で塞いで聞こえなーいってやってカレンさんが来るのを待っていた
「お客さん、お待たせしましたー。お父さんが言ったことは忘れてくださいね?」
顔はニッコリと笑っていたが、文面は脅迫だった。
忘れないとどうなるかわかってるよなぁ?って脅されてる気分だった。
「さっきはすみません。お客さんが来てくれたのが嬉しくて。ここはお父さんが赤い目だからって呪われるだ喰われるだって噂がたってお客さんが寄り付かなくなっちゃったんです」
悲しそうな顔をしてすみませんと付け加えた
この娘はしっかりしてるなぁ、なんて思っていたら
「先ほどはすみません」
とさっき聞いたようなことを言って先生が近づいてきた。
「先生、もう大丈夫なんですか?まだ寝ていた方が」
先生のさっきの熱は尋常じゃなかったと思う
もう大丈夫なのだろうか
「本当に大丈夫ですよ、それにカノンさんには良くしてもらって。大まかですが『踊るナス亭』の事情も聞かせて貰いました。なんとかしてあげたいのですがダメ...でしょうか?」
「そんな聞かれ方をして断ったら俺は悪者になってしまいますよ」
正直レーンさんの呪いはどうにかなると思うが、それでこの店の信用が急に戻るかと言われるとちょっと分からない。
1度無くなってしまった物がすぐ戻るとは限らないからな
さて、どうしたものか。
「取り敢えずレーンさんの呪いを解きましょう。先生が。」
俺ではない。先生がだ
だって俺、白魔法なんてできないしー
聞いた話によると白魔法って男性じゃ習得できないらしいしー
「あ、はい。わかりました。ちょっと待ってて下さい。」
と、カレンさんがダッシュで行ってダッシュでレーンさんのアフロを掴み戻ってきた。
レーンさんは見るにも堪えない状態だった
顔は辻斬りもとい辻ボクサーにボコボコにされたようだし、顔から下はくまに襲われたような引っかき傷があった。
この短時間で何があったのだろうか...鳥肌が立った。
先生も驚いたようで、回復の魔法の詠唱をしていた。
『共通言語理解』のおかげで何言っているのかがわかった
『我の魔力を代償にこの者の傷を癒したまえ ヒール』
そう先生が唱えるとレーンさんの体が緑色の光に包まれる。
緑色の光が終わると何事も無かったかのようにレーンさんの傷が治っていた
「じゃあ。先生このまま呪いも、お願いします」
「はい、わかりました」
そういい詠唱に入る。
『我の魔力を代償にこの者の呪いを解きたまえ ディスペル』
レーンさんの左目があかいろではなくなった。
「ひ、左目が、みえる?!」
レーンさんがそういう、っていうか左目見えてなかったんですね
でも、問題はまだある。
店の評判をどうするか、だ。
俺の考えとしては地道にいい噂を流してとコツコツいくのが妥当だと思う。
その旨を皆に伝えると
「俺達はそれで構わねぇ、というか目を治してくれただけでも感謝してもしきれねぇ。」
「本当に有難うございます。主人の事はいくら感謝してもしきれないくらいで、あ!なんですから」
カノンさんが思いついたように手をポンとする
「うちのカレンいります?」
爆弾発言というのはこういうことを言うのだろう。
それを聞いたカレンさんは顔を真っ赤にしてプルプル震えている。
「おっ?それはいいな。どうだ?海兎。まだこんなんだけど将来的に見ても別嬪になると思うんだが」
うーむ、確かにカノンさんは美人だ。
カレンさんはカノンさんに似て美人になるだろう。
なんて考えていたら隣から凄い殺気みたいな物が飛んできた気がした。
「お気持ちは嬉しいですが、カレンさんには将来俺なんかよりもっといい人が見つかりますよ。それに治したのだって先生ですし。」
そう、先生なのだ。ここ重要。
俺は全くと言っていいほど何もしていない。
というか役に立てなくて逆に申し訳ない。
その後、今後は少しずつ俺達その他諸々(元同僚)に手伝ってもらいイメージアップをはかろうという事になった。
上手くいけばいいんだけどなぁ
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます