4月18日 晴れ

 今日も生物の足跡は見つからなかった。

 だがその途中で、六角形の柱が大量に地面から生えているのを発見した。

 六角岩の群生地だ。


 六角岩とは、文字通り六角形の柱のことで、大抵は何十本もまとめて生えている。

 そのため、六角岩のある場所は、六角岩だけで構成された岩場のように見える。

 もちろん自然に石が削れて六角になったわけではない。

 この六角岩は、菌類、すなわちキノコの一種なのだ。

 地下の水源に根本があり、そこから少しずつ成長して、やがて地表へと姿を現す。

 根本のあたりは柔らかいが、地表部分は岩のように固い。

 もちろん、食用には適さない。

 そう、父に聞いた。


 運がよかった。

 六角岩が見つかったということは、地下に水源があるのは間違いない。

 この辺りを探していけば、湧き水が見つかる可能性も高いだろう。


 そう思って六角岩の群生地を一日掛けて探索したのだが、水場が見つからない。

 六角岩はそれぞれ高さに差があり、見通しも悪い。

 この六角岩の群生地はかなりの広さがあるらしく、すでに自分の位置も把握しにくくなっている。


 これだけ広いのなら、地下に巨大な水脈があるのは間違いない。

 しかし、はたして地表部分に出ているのだろうか。


 手持ちの水分は明日で尽きるだろう。

 明日か、明後日か。

 その間に水の出ている場所が見つからなければ、私は死ぬだろう。

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