4話 パーティーに誘うには 4
情報収集に当たり、まずはそのリタお嬢様をよく知ってる人はいないかと言う点から始まりました。 具体的には以前パーティーを組んでいた人とかですね。
お姉さんにその辺の事をより詳しく聞くというのも頭の隅にはあったのですが、個人情報の公開をしてもらうのは、そういうのを管理する仕事上、流石にNGだと思うのでやめました。 むしろここまで協力してくれたのも結構グレーなはずです。 ホント頭が上がりません。
そんなわけで聞き込みが始まったのですが、驚くことに開始してすぐに該当する人が掴まりました! その人は名前をガリルといい、きゅーちゃんと同じように仮面を被った、しかし体格のいい男性でした。
ガリルさんは語ります。
「あぁ、あのお嬢様か。 あの胸がでかい金髪の娘だろ? ……なんというか、猪突猛進って感じだな。 モンスターを見るや否やすぐに意気揚々と突っ込んでいくんだよ。 プリースト系の上級職って聞いてたから回復役としてパーティーに入ってもらったのに、アレは勘弁して欲しかったなぁ……陣形とか組んでも意味なくなるし……あ、そういや前に同じように胸がでかい金髪の女がうちに入った時も――」
「ありがとうございました!」
関係ない話に逸れそうだったので、私は遮るようにお礼を言ってそそくさとその場を離れます。
次に掴まったのは、セドルと言う口周りに髭を生やした恰幅のいい、まさにタンク役の合いそうなおじさんでした。
セドルさんは語ります。
「あぁ、あのお嬢様か。 あの胸がでかい金髪の娘だろ? あいつなぁ……うちのパーティーは回復役がいないから雇ったんだが、あいつ何でか全然回復魔法を使ってくれないでな……メンバーが怪我した時も使おうとしないんで、ついカッとなって掴みかかろうとしたら、逆に組み伏せられたよ。 とんでもない力だったなあ。 ありゃ服の中は意外とガチムチだろうな! あ、そういや前に同じように胸がでかい金髪の女がうちに入った時も――」
「ありがとうございました!」
関係ない話に逸れそうだったので、私は遮るようにお礼を言ってそそくさとその場を離れます。
次に掴まったのは、ヘインズというくすんだ金髪をリーゼントにした、私が前にいた世界の一昔前に存在した番長のような人でした。
ヘインズさんは語ります。
「あぁ、あのお嬢様か。 あの胸がでかい金髪の娘だろ? やたら短気なやつだったなあ。 俺が冗談で、男としてはお前みたいなでっかい乳でビンタされて見てえなあってあいつに言ったら、あいつメイスでぶん殴ってきてよ。 あれは死ぬかと思ったぜ……ただでさえスイング力は空気が唸るほどにつえーからなぁ。 あ、そういや前に同じように胸がでかい金髪の女がうちに入った時も――」
「ありがとうございました!」
関係ない話に逸れそうだったので、私は遮るようにお礼を言ってそそくさとその場を離れます。
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さてさて、有益な情報が集まってきましたので、きゅーちゃんと飲み物を飲んで軽く休憩しながら、私はメモした情報を纏めるため、その内容を見返します。
……ていうかさぁ、
「なんで3人揃って文の始めと文末が同じなの……」
なんですか皆して胸がでかい金髪の女って。 洋物AVが好きな男子中高生ですか! 全く男の人って奴は…………
「………………」
「なに、いきなり胸を隠しながら人を疑うように見て」
「男の人ってみんな胸ばっかり見ているのかなぁって」
「ごめん質問の意味と意図が全く解らないんだけど……とりあえずそう一々言わない方がこっちとしても意識しないで済むと思うよ」
「……さいですか」
凄いですねきゅーちゃん。 普段見ていないし意識していないっていう事を凄くさりげなく主張しながら返してきました。 ある意味最も理想的な返事ですよ。 女性としては複雑ですけどね!
きゅーちゃんは砂糖とミルクをたっぷり入れたコーヒーを軽く口にして、
「それより、その集めた情報であのお嬢様にこっちに入ってもらうための募集用紙作るんだよね? ……大丈夫? なんかまともな情報無かったと思うんだけど」
「んー? そうでもないよ。 ま、お姉さんに任せなさい!」
「……まぁ僕そういうの苦手だし、お願いするね」
「あいあい♪」
きゅーちゃんに一任された私は張り切って募集用紙にペンを走らせます。
書く内容はお姉さんに教わったとおり、『これに当てはまるのは自分しかいない!』『自分を心から欲している!』と思わせるようなもの。
………………うん。 つまりこういうことですね!
【パーティーを組んでくれる仲間を募集しています! 初心者大歓迎! 特に回復魔法が扱え、前衛も出来る、金髪でおっぱいが大きく、後衛なのに猪突猛進に的に突っ込み、気に入らないことがあったらすぐに仲間に暴力を振るううえ、回復魔法が使えるのにメンバーが怪我をしても使おうとしない方は優遇します!】
「この募集用紙を書いたのは誰だああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
異世界生活もついに1週間を迎えた日の朝。 聞き覚えのある叫びを聞いて私はニヤリと笑い、きゅーちゃんは驚いて食べていたお肉をのどに詰まらせて、慌ててお水を飲み干します。
思いの他魚は早く釣れたようです。 さぁ勝負といきましょうか。
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