赤い鳥挽歌(歌曲・2014年)

小さな僕の手を引いた母の姿思ひ出す

獨り兄の遺影を抱いて 歸らぬ父を待ち續けて

少年倶樂部を開いてみればのらくろ笑ふ

少女畫報を開くならば母の微笑み

 

誰が遁がして飛んでゆく「赤い鳥」

本棚の奥に隠した『青い鳥』

 

玉杯に花を受けた僕は少年飛行兵

出世希望號少倶を抱いて 一ばん星を見附け出した

少年探偵眞似してみれば怪人嗤ふ

処女泣く夏の田園に廻るかざぐるま

 

誰が殺して遁げてゆく「赤い鳥」

マグダラの乙女に歌ふ戀の唄

 

母の腕に抱かれ 父の背中凭れ

あゝ 暮れる陽のフヰルムに映寫機は躍り出す

埋葬虫孵る

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