第44話:「酔ったまささん、余計なことを言う」の巻
(ゆっくりと市街を走る路面電車の中で、まささんたちの飲み会も宴たけなわを迎えます)
「ただいまです~! まささん、元気してましたか~?」
「元気してましたかって、あなたが席を立ってからまだ十分も経ってませんが。もしかして、だいぶ酔っておられ……って、聞くまでもなかったですね」
「あはははー! まだ三杯目ですゥ。たいしたことないですよー!」
「(心の声:酔っぱらいの『大丈夫』ほど信じられない言葉はないんだけどな)」
「(すかさずまささんの手を握りつつ)ところでまささん。さっきわたし、マスター(←ミズヤマさんのこと)から、キキズテナラネーこと聞きました!」
「なんのことですかいのー、ねねさんや」
「まささん、女のひと嫌いてホントーですか?」
「ホントのことです、ねねさんさん」
まささんも余計なこと言わなけりゃあいいものを、酔った勢いで、つい思ってたことを口にしてしまいます。
「嫌いというよりは、反りが合わねーってのがホントのところですがね」
「反りが合わねーってどんな意味ですか?」
「気に食わないところがあって、一緒に行動するのが嫌だってことです」
まささんは言います。
「まず、きっちり意思表示しないところ。食事に行って『何食べたい?』って聞いたら『なんでもいいよ(ニッコリ)』って答えたくせに、『じゃあ○○にしよう』って言った途端、『○○は嫌!』って言い出したり。意思表示しないなら、白紙委任状出した相手の決めたことに文句言うなっての!」
「なるほどォ」
「その次は、やたらと『察して察して』と要求してくること。俺らオトコは
で、そういうのをきちんと指摘してやったら、今度は泣くかキレるかして問題をうやむやにしようと図りやがる。そして、結論はいつだって『わたしのことをわかってくれないあなたが悪い!』だ。しかも同じ女どもときたら、そんなオンナの肩持つことはあっても、絶対に同性を諫めたりはしないからな。はっきり言って、腹立つくらいにいらつくよ」
「おゥ。まささんの気持ち、わたしでもわかります。そういうオンナ、わたしでもキレますね」
「おおッ、わかってくれますかねねさんッ!」
「わかりますよ~。わかりますとも~。よしよし、ストレス溜まってたですね(と、まささんの頭をなぜながら) じゃ、まささん。とりあえず落ち着くために、冷たいビールを飲みましょう! 生中ふたつ、お願いしますー!」
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