「歴史は繰り返す」と言うには、あまりにも小さすぎる話

笛吹ヒサコ

国王陛下の胸の内

 窓の外に広がる町並みは、今日も平和そのものだ。


 磨き上げられた窓硝子に町並みの上に、うっすら映る俺の顔は険しい。


 もう少し、眉間にシワ寄せたほうがいいか。


 いかんな。気を抜くと笑ってしまいそうだ。


 まったく、歴史は繰り返す、とはよく言ったものだ。


 歴史書には決して記されることはないだろうな。

 あまりにもくだらない、小さなことだから。


 しかし、国の存亡に関わることだ。

 笑いごとではない。


 やれやれと、ため息が漏れてしまう。


 おいおい、ため息1つで怯えないでくれよ。


 窓に映る俺の口角が釣り上がり、意地の悪い笑みを浮かべた。


 そうだったな。

 あの時もこんな顔していたな。


 振り返れば、バカ息子が緊張して俺の言葉を待っていた。


「まずは、の言い分を聞かせてもらおう」


 こうして、再び歴史は繰り返すのだ。

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