◆ＮＰＣ◆

▼ 鞍矢真晃

鞍矢真流柔拳術師範代の青年。鞍矢真鈴音の兄であり、鞍矢真雁鉄の息子。恐るべき拳才の持ち主であり、実は雁鉄を超えて鞍矢真流最強の使い手である。しかし生来の体の弱さゆえに次代の継承者からは外されている。また若い身空で寿命が近づいており、余命いくばくもない。

鞍矢真流、ひいては鞍馬山の天狗たちから、守護者素戔嗚の転生と目されており、素戔嗚への覚醒が唯一の延命手段とされていた。

しかし実際は魔王尊の転生であり、その短命は魔王尊としての力が人の身に収まらないが故であり、その拳才も魔王尊の持つ天文学的なプラーナ量故である。

本人はいたって穏やかな性格であり、己の命の短さについても受け入れ、達観しているが、家族の気持ちも理解でき、その愛情を有難いとも思っている。そのため、雁鉄の方針に異は唱えておらず、流れるままに従っている。

短命に関しては、前回のシナリオにて、根源であった魔王尊が倒されたためにある程度解消されている。ただし器としての彼の体と精神はボロボロであり、病弱である状態には変わりがない。

▼ 鞍矢真雁鉄

鞍矢真流柔拳術現頭首。類稀なる格闘術の使い手であり、頑固一徹の頭の固いオヤジでもある。息子の晃と娘の鈴音の父親であり、師匠でもある。

厳しい人物だが、晃と鈴音には人並み以上の愛情を抱いており、先が長くない晃を何とか救おうと長年奔走していた。前回の事件で己の不明を恥じ、鎌倉探題には全面的に協力してくれる。

▼ 守護者素戔嗚

元はアマツカミ、すなわち魔王級侵魔の一柱であったが、幻夢神に味方し、かの神の分霊である天叢雲剣を拝領して守護者となった神。

荒ぶる神であるが、未開の種族であった人間に様々な技術を伝えた文化神としての側面がある。時の流れの中で何処かへと姿を消している。

現在は長谷部イサムの中で眠っているが、今回のシナリオでついに目覚めることになる。

▼ イザナミ

裏界の一角、あまねく黄泉の国を統べる大魔王級侵魔。アマツカミの一柱で国生みの神でもあり、三貴子の母神である。神代の時代に黄泉に堕ちてから、気の遠くなるような長い間、地上を狙う好機をうかがっていた。今回天叢雲剣がフリーになったのを機に動き出している。鎌倉魍魎戦記、第二シーズンの黒幕。

恐るべき力を秘めた大魔王であり、なまなかな存在では太刀打ちできない。たわむれに裏界少女として地上に現身を介入させてはプラーナを蓄えていた。裏界少女に関しては、当サイト掲載のシナリオ「裏界通信」を参照の事。彼女を打倒するには、守護者クラスの存在の力添えが必要となるだろう。

▼ ツクヨミ

三貴子の一人であり、イザナミの息子、忠実な手駒、魔王級侵魔の一柱。策を弄することを喜びとする策士。今回その策は結実、黄泉と表界をつなげ、決戦に臨む。

▼ 萌黄そそ子

円覚寺境内の庵、龍陰庵で修行する１９歳の尼僧。大変まじめで一生懸命なのだが、やる気が行き過ぎて空回りすることも多い女性。

円覚寺は尼寺ではないので、本来尼僧の修行場ではないのだが、彼女は特殊なウィザードであるため、鎌倉唯一の尼寺である英勝寺からウィザードの住職が居る龍陰庵に預けられている。

そのそそっかしさというか、ドジっこ属性は生来のもので、家族から愛されてはいるが、そのトラブル多発体質を持て余し気味であり、少しは落ち着きを身に着けさせるために中学からは仏教系の全寮制の女子高に通っている。エスカレーター式の進学により現在は大学生。大学に通う傍ら、龍陰庵で修行する日々を送っている。

しばらく前に行われた５月５日の大厄払い（シナリオ「鎌倉魍魎戦記３・5月5日は厄日なり？」を参照）の際に月匣に巻き込まれ、ウィザードであることが判明したので、普通の尼寺である英勝寺から龍陰庵に預けられたという経緯を持つ。現在は龍陰庵でウィザード僧としての修業を積んでいる。

彼女は「神鎮め」の能力を秘めた特殊なウィザードであり、鎌倉探題からは八岐大蛇の鎮静化能力を獲得することを期待されている。

彼女の前世は実はコノハナサクヤビメであり、神鎮めの能力はその水神、酒の神としての側面による。

▼ 長谷部イサム

元は凡百といわざるを得ない、並程度の実力のウィザードだったが、一連の事件の前に魔王と契約して落とし子になってから、格段に力を上げた。しかしそれは魔王級侵魔、ツクヨミに支配されてのことであった。紆余曲折の末、一度プラーナを失って存在が消滅しかけたが、妹のさくらと鎌倉探題のウィザード（ＰＣ達）の尽力により救われている。詳しくは、シナリオ「鎌倉魍魎戦記Ⅱ　序章　闇と蛇の狂奏曲」および「鎌倉魍魎戦記Ⅱ　第一章　兄と妹の合奏曲」を参照の事。

実は元侵魔である守護者素戔嗚の本当の転生体であり、イザナミ陣営の計画の中核である。ツクヨミが凡百のウィザードだったイサムを支配したのもそのため。本人はその事を知らず、イザナミ陣営も厳重に秘匿しているため、その事実は誰も知らない。

前回のシナリオでイザナミ陣営に囚われており、天叢雲剣の制御装置として利用されるため、素戔嗚として転生することになる。

▼ 長谷部さくら

長谷部イサムの妹で、南鎌倉中学に通う１３歳の中学生。自覚はないが、わずかながらウィザードの素養があり、エミュレイター月読に食われて存在が消失したはずの兄の事を記憶していた。鎌倉探題のウィザード（ＰＣ達）の協力により大好きな兄を取り戻してから、少しずつ元の明るさを取り戻し始めている。

実は守護者素戔嗚の介添人たる櫛名田比売の本当の転生であり、イザナミ陣営の計画の中核である。本人はその事を知らず、イザナミ陣営も厳重に秘匿しているため、その事実は誰も知らない。今回は素戔嗚を操るための制御装置、人質として扱われている。彼女を救出できるかどうかが本シナリオクリアのキーポイントとなる。

▼ イワナガヒメ

天皇の祖である天孫ニニギの元に妻として贈られた女神。アマツカミの一柱であり、裏界に住まう魔王級の侵魔。岩のような永遠性をつかさどり、不老長生の神である。しかしその醜さからニニギはコノハナサクヤビメを妻とし、イワナガヒメは追い返される羽目になった。以来、コノハナサクヤビメへの憎しみを募らせている。

岩の化身でもあることから、黄泉の国に対する強力な封印であり千引きの大岩を破壊することができるため、イザナミによって召喚される。なおイザナミにとっては孫娘にあたる。

▼ 僧正坊

鞍馬寺、ひいては鞍馬山にて修行する天狗八百を束ねる大天狗。鞍矢真流の後ろ盾であり、今回は鞍馬寺天狗一等の総力を挙げて晃の素戔嗚転生を成さんと息巻いている、血気盛んな人物。猪突猛進で単純な性格。

前回の不徳を恥じ、今回は強力な援軍として登場する。

▼ 三尺坊

静岡県は秋葉山に集う、秋葉大権現を祭る千二百の天狗を束ねる大天狗。血の気は多いが情に厚い、もののわかる人物である。鎌倉探題とは、明治時代、御霊神社に秋葉神社を勧請して以来交流があり、北条まさことも知らぬ中ではない。

今回は強力な援軍として登場する。

◆背景設定◆

▼ 鎌倉の現状

「鎌倉魍魎戦記」シリーズ（以降、第一期と記述）の結末で、ルルイエとクトゥルフが消滅し、またその封印であり、鎌倉全域を守護していた大結界が消失したことで、微妙なバランスの上に保たれていた鎌倉の霊的秩序は、より一層の混乱を見せている。

ルルイエを拠点とし、クトゥルフを力の源としていた冥魔・深きものどもは、力と拠点を失い完全に消滅したが、市内の各所では、大結界を利用して維持されていた封印が次々に崩壊し、数々の魑魅魍魎が鎌倉の夜に解き放たれてしまっている。

また、市内を震源とした局地的な地震も頻発している。これに関しては、表向きは先に起こった東北大地震の影響とされているが、実の所原因は、制御を失いつつある八岐大蛇の祟りである。

▼ 「欠片」について

市内で頻発するエミュレイター事件や、ウィザードの暴走事件のいくつかで発見されている、強力な霊力を秘めた謎の金属片で、鎌倉探題では仮に『欠片』と呼ばれている。

その正体は、クトゥルフ復活の際に砕け散った『天叢雲剣』の破片である。元々絶大な力を秘めたこの剣の破片もまた、強力な霊力を秘めたアーティファクトである。その為、様々なトラブルの原因となっている。前回でついにすべての『欠片』が揃い、天叢雲剣として結実している。今回はそれを取り巻く、黄泉の軍勢との戦いの物語である。

▼ 鎌倉探題の動き

大結界の消失により、これまで以上にエミュレイター事件が増えている鎌倉の夜の治安を護るため、大回転の大忙しとなっている。この混乱を治めるため、鎌倉探題は大結界に代わる、大規模な霊脈の構築を急いでいる。現在最も有力とされているのは、八岐大蛇を祭ることである。

▼ 八岐大蛇について

八岐大蛇とは、鎌倉全域を網羅する竜脈であり、大結界に代わる霊脈の候補として有力視されている。

鎌倉の街は、７つの切り通しを蛇の頭に見立てた、ヤマタノオロチを象徴とした地勢をもっている。これは、ヤマタノオロチの不死性にならい、鎌倉時代に幕府の繁栄を意図して作られた大規模儀式魔法である。実際、源氏が滅んでも、鎌倉幕府が滅んでも、さらに室町幕府が滅んでも、鎌倉の街は不死鳥のごとく甦り、現在も観光都市として栄えている。

この「滅びと再生」による繁栄は、ヤマタノオロチの持つ「蛇」という属性による。即ち、蛇とは脱皮する性質から、古来「死と再生」による永遠を象徴するものであり、鎌倉の街も同様に運命づけられたためだ。鎌倉幕府にとっての誤算は、単純にヤマタノオロチを繁栄の象徴として見ていたために、「繁栄」のためには「死」を必ず経由するという運命に気づかなかったことだろう。

なお、ヤマタノオロチの頭は８個あり、７つの切り通しでは１個頭が足りないが、これは心臓に直結する最も重要な頭（道）が公にされておらず、隠されているためである。（余談ではあるが、鎌倉魍魎戦記１で「切り通しの鬼」が鎌倉を支配するために切り通しを抑えたのは、鎌倉を支配するにはヤマタノオロチの頭を押さえる必要があったためである。）

▼ 八岐大蛇の八つ目の首について

現在、八つ目の首は行き場を失っているが、イザナミ陣営の目的は、この首を黄泉へと通じる黄泉比良坂につなげ、鎌倉の地と冥界を直結し、直接進攻することである。これにより鎌倉を黄泉の領土とし、勢力を拡大することができれば、イザナミの力と地位は盤石となる。

▼ 天叢雲剣を再生する神社について

この神社は、シナリオ「鎌倉魍魎戦記Ⅱ　序章　闇と蛇の狂奏曲」にてＰＣ②の神社として登場した神社を想定している。特に設定が無ければ以下のような神社となる。

この神社は鎌倉の繁栄のために、鎌倉幕府が勧請した八岐大蛇を祭神とし、その制御、及び維持を管理するために建立された。「まつろわぬもの」の象徴である八岐大蛇の勧請自体が幕府の秘匿情報であるため、神社自体も隠されている。源氏山の麓にある銭洗弁天（http://www.sukidesu.jp/zeniarai/）に、その入り口は隠されている。銭洗弁天に沸く泉の源泉に位置して居り、霊的には八岐大蛇、即ち竜の水のみ場としての意味を持つ。そのため、八岐大蛇の力の源泉であり、同時にその命を縛る命綱でもあるのだ。

また、スサノオノミコトによるオロチ退治の神話に登場する、オロチを酔わせる酒壺をなぞることによって、緊急時にオロチを眠らせておくという、重要な役割も担っている。現在、鎌倉市街へのオロチの影響が地震程度で収まっているのは、この神社の持つ機能による。

▼ 鞍矢真流柔拳術について

古くは天孫降臨以前にまで遡るとも言われる古流武術の一派。門下生は少ないが、その強さは伝説的であり、知る人ぞ知る、という流派だ。

その特徴は、相対したあらゆる武術や戦術を貪欲に吸収し、常に進化を続けるという多様さ、変幻自在さにあり、拳術と名はついているが、剣術や弓術、軍隊式格闘術や暗殺術まで網羅している。

▼ 天叢雲剣

草薙の剣とも呼ばれた神剣。幻夢神の武力的な側面を表す分霊であり、これ自体がＴＩＳやゲイザーと同格の神である。守護者素戔嗚尊覚醒のためのキーである。

◆おまけのバカ設定◆

▼ 大仏ロボ

長谷エリアの高徳院におわします「鎌倉の大仏」こと、大仏様。日々参拝客や観光客に親しまれ、写真家たちもこぞって被写体にする、押しも押されぬ名所だが、それは仮の姿に過ぎない。その正体は、魍魎都市鎌倉を守護する決戦兵器、大仏ロボである。

その力はすさまじく、かつて一度だけ起動した際には、湘南を襲った大津波を単身で押し返し、被害を最小限にとどめたほど。この時メンテナンス施設である大仏殿を失っているが、近年になり江ノ島電鉄が強化改造に乗り出し、背面バーニアの高出力化による機動性アップや、江ノ電ヌンチャクによる近接攻撃力の強化、大仏ビーム、大仏ファイヤーの増設による中遠距離戦能力の付与などの近代化改修が施されている。

その起動には、パイロットである、隻眼の武将鎌倉権五郎景政の御霊を降ろし、フェードインして大仏に乗り込む必要がある。

その圧倒的な力はおいそれと使える物ではなく、普段は封印されている。鎌倉に真の危機が迫った時にその封印は解かれ、雄々しき守護神としての力を発揮するのだ！

▼ グレート鶴岡八幡宮

源氏の氏神であり、鎌倉全域の鎮守を担う霊験あらたかな神社。近年構築しなおされた、新たな鎌倉大結界の要でもあるが、鶴岡八幡宮の役割はそれだけではない。有事の際にはグレート合体ロボとして起動し、大仏ロボと並ぶ鎌倉の守護神としての姿を現す。

小高い参道階段をカタパルトに発進する胴体部分と、強化パーツである本殿アーマー、それに鎌倉駅ジェットがパイルダーオンすることにより、最強の合体形態、グレート鶴岡八幡宮が完成する。

近年、最大の武器である大銀杏ソードを失ってはいるが、鉄壁の守りを誇る舞殿シールドは健在であり、その霊験と威力は損なわれてはいない。目下大銀杏ソードに代わる新たな必殺兵器を開発中であるが、予算不足のため難航している。