第5話 コック長

メイド「失礼します。お飲み物をお持ちいたしました」


幼馴染「あ、メイドさん。こんにちは」


メイド「はい。いらっしゃいませ、幼馴染様」


魔王「ありがとね、メイド」


メイド「いえいえ。それで、お二人は何をしていたのですか?」


魔王「チェスだよ。まあボクの圧勝だったけ……あ、うそうそ。かなり厳しい戦いであった」


幼馴染「むう……。次は絶対に勝ちます」


メイド「ふふふ。幼馴染様、ご夕食の準備ができておりますが、こちらで食べていかれますか?」


幼馴染「あれ。もうそんな時間ですか」


メイド「はい」


幼馴染「うーん……。毎回毎回お世話になるのも悪い気がしますし」


メイド「いえいえ、遠慮なさらずに」


魔王「そうだよ。食べて行きなよ」


幼馴染「……えーっと、じゃあ、お言葉に甘えさせていただきます」


メイド「かしこまりました」


幼馴染「えへへ。実は私、あのコック長さんの料理、大好きなんです」


魔王「そりゃもちろんボクもだよ。料理は美味しいし、それに彼本人もすっごく優しいしねー」


幼馴染「いくら払えば私のところに来てくれますかね」


魔王「ちょっちょっちょ。絶対に渡さないからね?」


幼馴染「貸していただくくらいなら……」


魔王「ダメ。一日でもあいつのごはんが食べれないなんて考えられない」


幼馴染「そんなぁ」








メイド「…………だ、そうですよ?」


コック長「ほっほっほ……嬉しい限りですなぁ。どれ、明日からはいつも以上に丹精を込めて作るといたしましょう」

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