第5話
ある日、トンネルに差し掛かった車が、ポヨンと跳ね返った。 車から降りた運転手はトンネルの入口を見てみた。 何か透明で赤色がかったものがトンネルを埋めている。
「ゼリーだ」ペロリ、と舐めてみて運転手は言った。
その様子を見て、神様はニコニコしている。
「なんでゼリーなんです?」俺は神様に聞いた。
「時々こうして不便にしてやらんと人々は神々への感謝を忘れてしまう、だからじゃ」神様は答える。 なんて勝手なんだ、そう思いながら俺は神様にもう一度聞いた。
「なんでゼリーなんです?」
「昔は雪なんかを降らせていたのだが、それでは地域に偏りが出るのでな、ゼリーならどこに発生しようがゼリーだからの」神様はいいアイデアじゃろ、とでも言いたげに答えた。
なんだろう、このどうしようもない脱力感みたいなものは。 この神様について行って、本当にいいのだろうか?
「ゼリーなら食べられるしの」追い打ちをかけるように、神様が言ってくる。
俺は、悪魔になった。
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