第9話 悪魔の秘書

契約してから次の日曜日。俺は暗国軍本部に赴いていた。

「開けてくれ〜。」

すると、結界が開いていくのが見え、その中に入る事が出来るようだった。

「やっぱ、仲間になると今までの待遇とは違うね〜。」

確実に一歩進んだ事の嬉しさを噛み締めながら、俺は本部に入って行った。




「いつもいる悪魔いる?」

『……なが……いです。』

何故かスライムが目の前にいて、つい答えたっぽいが、俺にはある程度しか理解出来ないが、多分居ないのだろう。

『貴方のお探しの悪魔様なら、只今十種会議、悪魔の長として出席中です。御用があるなら、秘書の私が伺いますが?』

「えっと、あんま状況が分からないんだけど。アイツが長?嘘だろ?」

『いえ、本当の事です。そして、私が秘書にございます。』

「へ、へぇ〜。そうなのね。」

『それで、何か用ですか?』

俺を早く追い出したいのか、えらい執拗に聞いてくる。

「取り敢えず、戦力の確認とかしたいんだけど、君に聞いても大丈夫かな?」

『えぇ。特に問題はありませんよ。』

「それじゃあ、どこか適当に部屋を用意してもらえる?」

『へへへ、部屋ですか!?それはどんな部屋がよろしいのでしょうか!?』

「何興奮してんの?別にエロい事しようって訳じゃないんだしさ。単に戦力の確認して、作戦を考えるから部屋を用意してって言ってるのに。そういう事を望むなら、悪魔とやりなさい。」

『スミマセン……』

俺はそんな事興味ないっての。何やらそうとしてんだよ。

『取り敢えず、一部屋用意出来ました。』

「んじゃ、案内してくれ。」

そして、俺達は個室に向かった。だが、その時、俺は何も知らなかった。まさかあんな部屋を用意されるとは。




『こちらの部屋になります。』

「へぇ〜。結構広いんだな。」

確かにこの部屋は広い。多分30畳以上あるだろうか。広いんだが、ベッドがあるのが気になるんだが、敢えて言わないでおこう。

「取り敢えず、仕事の話をさっさと終わらして、さっさと帰らせてくれ。」

『そうですね。早く始めて早く終わらせましょう。』

そう言った秘書はタブレット端末を魔法か何かで繰り出した。

「取り敢えず、最初の案件は誰にも言うな。もちろん、悪魔にもだ。」

『分かりました。』

秘書の了承を貰ったところで、俺はこの前の録音レコーダーをポケットから出し、例の声を流し始める。

「この言葉を訳してくれ。」

『分かりました。』

そして、2度悪魔の声を流すと、秘書は訳し始めた。

『俺の病気は治らない。俺が????と!?!?!?!?で、△△△△になり、○○○○になる。』

「それがこのレコーダーに録音された言葉か?」

『はい。これが全てです。』

「途中の記号らしきのは?」

『わざとそうしていますね。まるで何かを隠すかのように。』

俺は、きちんと隠さずに話せと言ったはずだ。なのに、何故隠してる。俺が知るとマズイものなのか?それとも、病気の原因が本当に分かってないのか?

分からない。分からない。分からない。何をしたい?悪魔は一体何を企んでいる?

『……ぎさん!!……るぎさん!!剣さん!!』

「あぁ。悪い。少し考え事をな。」

『それなら、良いのですが……』

「まぁ、コレは作戦に直結しないから、取り敢えず安心してくれ。」

一呼吸置く。

「それじゃあ、取り敢えず今欲しい戦力だけ確認させてもらう。今欲しいのは、バレーンボールだ。1週間以内に後何体用意出来る?」

『およそ20体です。』

「その後でも用意は出来るよな?」

『お望みとあらば。』

「落下地点の指示は?」

『可能です。』

「それでだ。透明化の魔法を使えて、まだここにいない人数は?」

『500はいます。』

「そうか。ありがとう。じゃあ、指示を伝える。2週間後に俺が指示する場所にバレーンボールを落としてくれ。もちろん、20体出すし、そこには透明化の魔法を使える奴を乗せるがな。」

『伝えておきます。』

「そいじゃあ、今日は帰るわ。」

『お待ちください!!』

嫌な予感がする。

『ここまでさせておいて何もないんですか?』

「お前に報酬の手配をしておく。じゃあな。」

『剣さんは知らないんですか。暗国軍の雌を。』

背中に一筋の汗が走る。

『もちろん、唯では帰しませんよ。覚悟してください。』

そう言った秘書は完全にハンターの目をしていた。

「覚悟って何のだよ。」

恐る恐る聞いてみる。

『乙女に言わせないでください!!』

そして、俺は何かを失いかけ、その後逃げ出した。

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