第7話 本契約①
日曜日。俺は前と同じ行き方で秋刀魚公園の奥に行ってみたが魔法のせいか、思いっきり迷った様になった。
「場所指定されてなかったから取り敢えず、秋刀魚公園に前と同じ行き方で来てみたけど、間違っていたのかな?」
『もうこんな所まで来てたのかよ。場所と時間指定しなかったのは俺の落ち度だが、こんな所まで1人で来て、本拠地がバレでもすればどう責任を取るつもりなんだよ。』
「なんでいきなり後ろから現れる上に俺が怒られねーといけねーんだよ。」
『そりゃ、本拠地がこの近くにあるからだよ。それと、お前が連絡なしに勝手な行動を取るからだ。地球にはホウレンソウという言葉があるんだろ?』
何故か俺が全部悪いみたいに言われつつ正論を言われ、何も言い返せない俺自身に少し嫌気が差した。
「ホウレンソウの意味をきちんと理解してんのか?」
『ホウコク、レンラク、ソウダンだろ?それで今回は俺はレンラクを、お前はソウダンを怠った。何か間違えた事でも言ってるか?』
「お前ホント質悪いよな。腹黒いし。結局俺に擦り付けてる形になってるし。」
『褒め言葉として預かっておこう。』
「んで。レンラクを怠った悪魔さんよ?一体いつになりゃ本部に行くんだよ?」
『急かすなよ。今から行くから。』
少しコイツの性格を理解したと同時に3度目の御対面になる球体が目の前に現れ、その中に入った。
『それじゃあ、さっさと本契約を始めますか。』
「さっさとしてくれよ?俺明日の課題まだ残ってんだから。」
『ハイハイ。前は粗方説明して、質疑応答の所で俺の持病が出たんだよな。』
「俺が撤退の話をしてる時にな。」
『そうだ。じゃあ、単刀直入に言えばノーだ。俺達には時間がない。それぐらいなら、全滅覚悟で闘うべきだというのが十種会議で決まった確定事項だ。決して俺の独断じゃないからそこだけは安心しろ。』
「質問をいいか?」
『良いだろう。』
「なんでノーってなったかは分かった。だが、十種会議ってのはなんだ?それを教えてくれ。」
種族関連の事なのはすぐに分かるが、ここには十種族しかいないのかどうかが分からなかった。
『少し長くなるが良いか?』
「どうぞ。」
『この暗国軍は十種の知識を持つ種族と知識に近いものを持ついくつかの種族と、無知の種族の3種類に分けられる。お前が知ってる種族で例えれば、知識を持つ十種は俺みたいな悪魔族。知識に近いものを持つ種族はスライム。無知の種族はこの球体だな。』
「ちょっと待て。この球体も生き物なのか?」
『一応生き物だがどうした?球体族のバレーンボールが正式名称だ。決して機械じゃないからな。』
「ウソだよね?ウソだろ!ウソに違いない!!」
『そこまで否定されると流石に証拠を見せないとな。』
そう言った悪魔は立ち上がり、近くの壁を深々とナイフで斬った。すると、驚くことに黒い液体がそこらじゅうに飛び散った。
『分かってると思うがこれがバレーンボールの血だ。ちなみにこの血は暗国星で売れる。日本円でリッター3000円でな。だが、その3分の2は斬ったバレーンボールに寄付しなければならない上にこのような綺麗な黒色じゃないと無価値だから、意外と高値で売られ、ガソリンなどの代わりに使われている。』
「そこまでは聞きたくなかったんだけどな〜。」
『話を戻すが、十種会議は知識のある種族の長が集まって会議し、暗国軍の確定事項になる。それが十種会議の役目であって、全てだ。』
「長の決め方ってどう決めんの?」
『種族によるが、ほとんどの種族は選挙だな。』
「なるほど。それなら、最初の要求は諦めるよ。」
『納得してくれたようでこちらとしても有難いな。』
「じゃあ、次だ。」
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