第3話 自分の思い
「おーいウィズー後のモンスター頼むわー」俺たちは今クエストの真っ最中だ夏になるとでてくる虫を討伐している。
「まかしてください!インフェルノ!!」ただでさえ暑い夏の気温が少し上昇したのを感じる。
ウィズの唱えたその魔法は一瞬で群がっていた虫を灰に変えたのだった。
「いやーやっぱ本物の大魔法使いがいてくれると楽だな〜!ずっと俺たちのパーティにいろよ!」かなりの数の虫を退治したことによってギルドから決して少なくない追加報酬を貰った俺は楽しそうにそういった。
「どーせ私は偽物の魔法使いですよ」
ウィズがパーティに加わってからずっと不貞腐れているめぐみんが不機嫌そうに呟く。
「めぐみんさんの爆裂魔法も凄かったですよ!私ではあれほどの威力の爆裂魔法は撃てませんから!」
そんな不機嫌なめぐみんを慰めるウィズ。
強力な魔法に莫大な知識、不死の体、明晰な頭脳、人を気遣える優しさ、よく主張するけしからん胸。なにをとってもハイレベルなウィズはウチのパーティに様々な利益をもたらしてくれる。
バニルからウィズを預かって一ヶ月が経ちチームワークも取れてきたし信頼も深まった。
よし、今日はご褒美に背中を流してやるか。
「あーカズマさんがイヤらしい顔してるーウィズの体を舐め回すように見てるんですけど」アクアがそう言うとめぐみんとダクネスから冷たい目を向けられ、ウィズは自分の胸を隠すように両手を胸の前に組んで耳まで真っ赤にして俯いてしまった。
ああ^~カワイイ
ウィズとダクネスがいると俺の下半身が爆裂魔法を撃とうとしてしまう。
今日の夢はウィズだな…。俺は今晩見さして貰う夢を妄想してさらに下半身を熱くした。
その日の夜。俺は夢を見るために飲酒を避けて早めに寝床についた。
そして素晴らしい夢の世界に飛び立とうとした時…
ガチャ-部屋の扉が開いた音がした。
だれだ?今から俺はお楽しみタイムなんだ何人たりとも邪魔はさせない。
気づかないフリをしてそのまま寝ようとすると声をかけられた。
「あ、あの…カズマさん?もう寝てしまいましたか?で、ではまたの機会に…」
そう言って声の主は扉を閉じようして
「まぁ待てウィズ俺はまだ寝てないさ、ほら隣が空いているよ。」俺は最強の紳士フェイスを持ってウィズを自分の寝床に誘う。
「え、えぇ?し、失礼します。」
おずおずと頭を下げながら俺の寝床に入る。
俺も結構流されやすいけど…この娘もう少し警戒心を高めたほうがいいのでは?と思うもウィズが隣に転がったことによって嫌でも匂うウィズの甘い匂いにクラっとくる。嫌じゃないないんだけどね。
ウィズは俺に背中を向けて転がっている。これだけでもかなり緊張するが少しの悪戯心が俺の緊張感を押しつぶしている。
「なぁウィズこっち向けよ、なんか話でもあるのか?」
できるだけ優しい声でそう囁く。
「カズマさんあの実は…」
こちらを向いて少し言いずらそうにしているウィズに俺が催促する。
む、真正面から見られると恥ずかしいな
「恥ずかしがらずに言えよ。俺たち仲間だろ?仲間の頼みは絶対に聞いてやるよ」
「あの私は…3日後にはパーティから抜けることになります…カズマさん達にはお世話になりました…」
綺麗な満月の夜、月明かりに照らされたウィズの顔は涙があふれるのを堪えながらも辛そうに笑っていた。
次の日の朝、俺は珍しく早起きをして朝食を待っていた。今日の当番はウィズだ。昨晩のことについて聞きたいこともあるしちょうどいい。
昨晩というとその後ウィズは逃げるように俺の部屋から出て行き、俺は鬱々とした気分で寝ようとしてもなかなか寝付けなかった。
昨晩のウィズはどうしたんだろう。パーティを抜けても別に会えなくなるわけじゃない。そんなに俺と離れたくなかったのか?そんな考えを延々と繰り返していると
「あ、カズマさんおはようございます」
にこやかに笑うその顔に昨晩のことは夢じゃなかったのかと疑ってしまうが。夢にあんなコアなオプションをつけた覚えがないので夢ではないのだろう。
ここは素直に聞いてみよう。
「なぁウィズ昨晩の-」俺が言い終わる前に
「カズマさん朝ごはん出来ましたよ!皆さんを起こしてきてもらえませんか?」
ウィズは尚も笑顔を絶やさない。
けど俺は気付いてしまった。ウィズは無理やり笑顔を作っていることに。
チッ…一ヶ月も一緒にパーティやってて気づかないわけないだろ!
心の中でわけのわからないことに憤っている。
それは自分に大事なことを教えてくれないウィズへの苛立ちだ、なぜ自分がそんなに苛立っているか考えていると意外にすんなり答えが出た。
「ハハハッ」
「?どうなされました?」
答えが出ると次はなぜか笑いが起きた
こんなに簡単なことだったんだ。
自分のウィズへの思いを改めて確認し。三人を起こしに行く。
これはめぐみんもダクネスをも裏切る修羅の道になるかもしれない。けど俺は逃げない。だって
俺はウィズが好きだから。
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