腐り目

虫の音を「五月蝿い」と感じる耳なら千切るのが良い

花の香を「臭い」と嗅ぐ鼻ならもぐのが良い

白い壁を「白い」と言う口なら閉ざすのが良い

無感動な心はそれだけで害悪なのだ


目やにだらけのその眼を擦り

一羽の鳥が飛び立つ際の筋肉の躍動に

涙を流すのであれば まだ救える

しかしそれも 失われてしまったのならば


おまえが気にも留めなかった命の芽生えのように

おまえが棄ててしまった想像力の片鱗のように

誰にも知られず死んでしまえ

自分も知らずに死んでしまえ

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