第109回『第二印象』→正選王★

 私の彼は青年実業家。

 見た目はパッとしない醜男なんだけど、人気ネットショップ『印度すごいんど』を運営していて、かなり儲けているみたいなの。

 しつこく付きまとってくるのは嫌だけど、お金があるのは魅力よね。

 ある日、彼の住む家を訪れてびっくり。だって小象がかっぽしてるんだもん。

「まあ、可愛い!」

「すごいでしょう。インド象とは思えないほど耳が大きいのが特徴です」

「ホント。アフリカ象みたい」

「遺伝子操作なんです。ワシントン条約やら何やらでアフリカからの輸入は難しいですから」

「それって偽物ってことじゃない」

「でも、結構問い合わせがあるんですよ」

「へえ〜」

「それでいよいよショップで売り出そうと思っているのですが、どんな名前にしたらいいのか悩んでいるのです。何か良いアイディアはないでしょうか?」

「なんちゃってアフリカ象」

「アフリカ象はまずいんじゃないでしょうか。クレームが付くかもしれません」

「じゃあ、第二インド象」

「第二はいいと思いますが、インド象というのは興ざめですね。ネタバレしちゃってます」

「それなら……」

 第二印象。

 二人で決めた素敵な名前。

 この象が売れたらプロポーズしてくれないかしら。

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