みつき詩集

三月兎@明神みつき

季節が変わる頃に

 こどものころ、季節が変わる瞬間。その瞬間を感じていた。


春、夏、秋、冬。ただ暦やそういったきまりでなく、「ああ、今、季節が変わった」と自分が、自分の世界で感じた。


 それは朝、目覚めたとき。


 それは空気のにおいを嗅いだとき。


 それは景色を見たとき。



 毎年、季節が移り変わるとき、それを不思議と、なにかのきっかけで感じた。


あれはどんな感覚だったろう。言葉では表現できない。


瞬間、季節が変わったと。全身がとかでなく、"そう感じた"としか説明できない。



 気がつけば、その感覚は年々鈍磨していた。


 季節が変わった感じが、今では気づけば変わっていたくらいに。


この先、鈍磨した感覚は、いつしか失われていくのだろうか。



 季節が変わる頃、それをおもう私は、あとどれくらいいられるだろう。

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