第7話最後の戦い
狩人ロビンにはもう魔力はかけらも残っていなかった。
しかし彼には今まで培ってきた技術が残っている。
ロビンの放った矢は、正確に魔王の持つ杖の宝玉の部分をとらえた。
パリンッ……。
宝玉が砕け散る。
――やった!
ロビンがそう思った直後、制御を失った火の玉が暴走してロビンに襲いかかった。
――マズイ。
と思った時にはもう遅く、ロビンは燃え上がる。
ちょうどその頃同時に突っ込んでいた闘士ホーストが魔王に肉薄する。
彼にももう闘技を放てるだけの力は残っていなかった。
しかしまだ命が燃え尽きた訳ではない。
魔王に組み付き最後の力を放つ。
「ライフバースト!!」
……ドォォォォォン…………。
自らの命をエネルギーとした自爆技だ。
魔王の体を覆っていたエネルギーシールドが吹き飛んだ。
ホーストのすぐ後ろには剣聖コジロウがいて魔王に一撃を与えようとしていた。
しかし魔王もただだまってやられてはいない。
杖は砕け散ったが杖など無くても魔法は放てるのだ。
「アルティメットフレア!」
コジロウに向けて、究極の炎が襲いかかる。
当たれば即死だ。
しかし避けるだけの時間もない。
――終わりか……。
コジロウが一瞬諦めかけた時、その炎が何かと衝突する。
賢者マーリーンの放った反射呪文だ。
しかしいくらマーリーンとはいえ、魔王と張り合えるだけの魔力は有していなかった。
反射呪文は砕け散る。
しかしコースがそれた。
そして……それがマーリーンに直撃する。
しかしその一瞬出来た隙を見逃すようなコジロウではなかった。
愛刀の物干し竿を魔王に突き刺した。
……ズウォ……。
物干し竿が魔王を貫通する。
だが魔王も最後の力を振り絞りコジロウの両肩を掴むとありったけの魔力を叩き込んだ。
……バァァァン!……
コジロウの体がありえない速度で吹っ飛び、後ろの壁に叩きつけられる。
しかしコジロウも最後の力を振り絞って言葉を放った。
「アキト!とどめを刺せ!」
アキトは魔王に駆け寄る。
そして剣を振り上げた時、魔王が一言放った。
「ここまでか……」……と。
魔王は既に事切れていた。
アキトは振り上げた剣をそのままに後ろを振り返った。
仲間は全員息も絶え絶えだが死んだものはいないようだ。
アキトは叫んだ。
ウォォォォォォォォォ!
その時、妙なシステム音が頭の中で響く。
――ユニークスキル発動。ユニークスキル「響き渡る声」を発動します。
アキトの放った声は、この世界の全ての人間の頭に響き渡った。
そして人々は理解した。
戦いは終わったのだと。
ウォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!
この世界の人間が全て同時に叫び声を上げた。
そしてその時、アキトの体が白い光に包まれる。
――なんだ!?
……そして。
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