11 浸透する狂気

 ずっと穏やかだった風が突風に変わり悪意をはらんで襲ってくるような感じでそれは訪れた


  自分にはなじみのない感覚だった


 怒り 暴力的で凶暴なただし彼女に対してではない


 このときまだ彼女との一体感は続いていて彼女も同じ気持ちになっていたのかもし 少なくともこのどこからやってきたのか得体のしれない気持ちは彼女には向かわなかった


彼女を傷つけるなんてとんでもないまだそう思っていた


  完璧な一斉射撃のような狂気に襲われてどうしていいかわからなくなった


その間にも怒りの波は止まらず そしてその時彼女が手を引いた


 自分はもう何が起こるのかわからないままただそのあとについて言った


 外から騒音が聞こえた


目がくらむような火がたかれいつも穏やかな村人たちが歓喜に目を輝かせて狂ったように踊っていた


 フードをかぶったものもいた


中にはするずるといざったまま体を揺らしているものもそして奥にはイムが柱に括りつけられた


 イムがいた 何か叫んでいる あれは日本語か英語か


意識があいまいで頭がふらふらした


 その時だった 彼女が僕の手にナイフを押し込んだのは・・・

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る