第2話 夢の実現方法教えます
この項では同人誌を作るに当たってのやりがいや意気込みを維持する方法について解説しています。
同人誌制作を日常生活と平行して行うことは意外と大変です。これを楽々こなすのは大変なので、作業をできるだけ楽にしつつ、やる気を維持する方法を知っておく必要があります。
楽な方法についてはこの文章の記述内容をガイドに使うことによって、作業上の悩みをなくすことで達成しています。その上でやる気を維持する方法については、以降の文章を参照してください。
●結論:同人誌は好きなものをかく
同人誌は読んで字の通り、同好の士(人)に作る雑誌です。ですから、少なくとも自分の好みと同じ好みの人に向けて書く必要があります。ひるがえって言えばあなたと好みの同じ人が手にとれば同人誌作成としては成功なわけです。簡単ですね。
ではどうすればいいか。方法は二つあります。あなたのモヤっとした好きとばっちり合う人を捜して、その人に向けてかく。もう一つが、あなたの好きを煮詰めて、誰もが好きになるように単純化した上で、好きなようにかく。です。
どちらにしろ言えることは、あなたが好きなものを書けばいい、ということです。好きになったものがもやっとしているなら、単純にそれをかきましょう。好きなものが単純なものに煮詰められていれば、凝ったディテールでかきましょう。続けていれば、いつかは同好の士に届きます。
トライし続けましょう!
○夢とは妄言である
もしあなたが現代っ子で、夢なんてみねーよ。という方なら、あなたは幸せものです。今すぐ酒を飲み、メモと筆記用具を片手に妄言をメモに書きつづっていきましょう。
なぜこんなことをするかと言えば、それは夢とは妄言の産物だからです。現実の制限がもしなかったら、というところから妄言は始まり、それが甘美な妄言であるものを、ふつうは夢と言います。
同人誌制作は夢を紙面上にて形にするものです。形にすれば紙面上ではそれは現実になります。現実感を得られるかはディテールの出来、つまり全体に対する細かい部分のつくりによって決まります。夢にディテールをつけてかりそめの現実を作りましょう。それが誰かの心を打てば、あなたの勝ちです。
誰かの心を打ち抜きましょう。
○妄言メモを取ろう
酒を飲んで妄言メモを取ろう。という話を前の項で書きました。妄言メモをとる環境について話をさせてください。
まず、ある程度静かでメモを取れる環境がいいでしょう。可能ならば自宅、まずければ個室居酒屋やカラオケボックスを取りましょう。
次に相づちを打ってくれる同好の士を見つけましょう。居なければ無しでもかまいません。このときは相づちを打つかわりにメモを使います。メモに今の話の要約を書いて、「それからどうした?」、ないし「どうしてそうなった?」とつぶやきましょう。単純に、矢印マークを書いてもいいです。
相づちを打ってくれる相棒と酒を飲んで盛り上がり、そのときに取ったメモが、あなたの創作の原点、妄言メモになります。
○冷静な頭で妄言メモを見返そう
妄言メモができたら、いったん制作はストップし、冷静な頭になるまで様子を見ましょう。たとえば翌日の朝を待つなどがおすすめです。
冷静になったら、別人のように冷静になった頭でメモを見返しましょう。きっと頭が痛くなると思います。メモが意味不明な単語の羅列だったり、そもそも読めないだったり、すると思います。ですが、大丈夫です。これらのメモを創作の原点にする方法を、お教えします。
今から自分は暗号解読の専門家になったつもりで、これらのメモを見返しましょう。メモは遠い昔の誰かが書いた貴重な文献で、これを自分の身に取り入れ、日本語に翻訳するのがあなたの仕事です。ね、簡単でしょう? まずはなにを書いていたかを現代語に翻訳して、それを文章にしてみましょう。
できた文章をどうやって同人誌にするかは、次の項でお話します。
○あえて商品化を考えよう
前項までで、意味の曖昧な文章の羅列がこうしてできました。これがあなたの今回の同人誌作成の原点です。次はこれを補強して、あなたがほしい同人誌の形に落とし込むというのを、この項では行います。
まず、あなたが手にとってほしい同人誌の買い手さんはどんな人でしょうか? いったんその特徴を書き出してみましょう。手元にご自分で手に入れた同人誌があれば、それから想定される買い手の特徴を挙げてみるのも、おすすめです。具体的には以下をまとめてみましょう。
「手にとって読んでほしい人の特徴(性別、好きなもの、同人誌を買う予算、普段読んでる雑誌)」
ここで具体的に読んでる雑誌がわかったら、いったん作業をやめ、その雑誌を一冊買いましょう。これが、今回作る同人誌の具体的なお手本になります。以降、作業中に困ったり手本がほしくなったら、つねにこの雑誌を開くことで解決します。これによって作業中の悩みを極端に減らすことができます。
ここまで決まったところで、次の作業です。あなたの妄言メモを要旨とする記事がこの雑誌に載るとして、どういう部分が足りないのかをメモに羅列していきましょう。
羅列ができたら、これを一個ずつつぶせば、同人誌原稿は完成です。
ね。簡単でしょう?
○夢の商品化スケジュールを引こう
前の項では、同人誌原稿に必要な内容リストを作りました。このリストをもとに、同人誌を実際に作るにあたっての作業スケジュールを作りましょう。
作業の最初として、リストの中に普段の日常作業でやっていることを一つ、書き足してください。宿題でも、日報作成でもかまいません。これが作業の難しさ度合いを測る基準になります。
作業の基準ができたら、同人誌原稿に必要な内容リストのそれぞれに、「基準となる作業に対して何倍難しいか」を点数づけていきましょう。不可能だったり、難しいものについては、リストに「勉強(練習)する」「考案する」といった項目を足して、それに点数付けをつけましょう。
点数をつけたら、基準となった作業にかかる時間をだし、それぞれの作業の点数にかけ算していきます。これが、だいたいのあなたの必要な作業数です。
次に、あなたの平日一日あたりの作業時間を考えます。平日一日に同人誌制作に当てられる時間を考えて、数字で出しましょう。
この値で、必要な作業数の時間合計を割れば、同人誌作成に必要な日数が決まります。
○応援してくれる人を得よう
前の項では同人誌作成に必要な時間というのが決まりました。これをもとに、誰かに相談しましょう。
相談内容は、作成したスケジュール感で同人誌を作りたいので、たまに状況の相談に乗ってくれ、です。このとき、作業の割り振りなどは考えず、すべて自分がやるものとして相談してください。
相談相手がいない場合は、大きな紙やカレンダーなどに作業日程を書き込んでおき、毎日眺めましょう。おすすめは寝室やトイレにカレンダーを貼り、携帯のスケジューラに登録しておくことです。(筆者山内はそうしています)
ここまでできたら、あとは道具を揃えて書き始めるだけです。
どんな道具がいるのか? それは次の項目でお話ししましょうね。
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