第8話 被服室のマネキン

 わたしの通う学校の被服室には、一体のマネキンが置いてある。

 ある日の放課後のことである。わたしはクラスに水筒を置きっぱなしにしていたことに気がつき、部活が終わると3階にある教室へ取りに向かった。

 もうすぐ下校時刻のため、校舎内に残っている生徒は誰もいない。昼間の騒がしさが嘘の様に校舎内は静まり返っている。

 教室に入ると、自分の机の上に水筒が置いてあった。それを持ち、教室を出たわたしは、階段へと向かう途中で何となく被服室を覗いてみる。マネキンが一体、ドアの近くに置かれていた。

 なんだか薄気味悪さを感じたわたしは、被服室を離れ、急いで階段を駆け下りた。

 校舎を出たわたしは少しホッとした。下校時刻が間近のため、校庭にも人っ子一人いない。

 わたしは校庭の真ん中辺りで一度立ち止まると、何となく振り返ってみる。

 そして、わたしは校門に向かって全速力で走った。

 なぜなら、昇降口から一体のマネキンが出てきたから・・・。

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