月夜のかげろう~KIZUNA~

水木レナ

#1プロローグ

#1劇団内部。台本読みをしている

(効果音、ページをめくる音)

エフィメラ「どうして、こんなラストなの?」

ジョバンニ「史実だからさ。これでも有名なヴァルトスとロザリウムの歴史に刻まれた、名悲劇。どこか気にくわない?」

ベンジャミン「こうなると、好みの問題ね」

ジョバンニ「ヴァルトスの秘宝の鏡が言ったとおりに、女王の愛はロザリウムの王子を殺すことになり、王子の献身は女王に毒杯を仰がせた。実際にあったことだろう?」

エフィメラ「わずかなりとも情を交わした相手よ? 別々の場所で、離れ離れになって死ぬなんて、ひどすぎるわ。どうかしたんじゃないの? ジョバンニ。 こんな無慈悲な不幸話はいや」

ジョバンニ「君はいろいろ指摘はするが、話の何を読み取っている? 悲劇だぞ? 甘くないんだ。無慈悲で何が悪い?」

エフィメラ「こんなのって……耐えられない!」

ジョバンニ「泣くなよ」

ベンジャミン「二人とも待って、ジョバンニは草稿をあげた時点で疲れ切ってる。エフィメラも代案がないのなら、一方的にせめるもんじゃないわ。とにかく、今はのどが渇いたわ。エフィメラのお茶がのみたい」

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