第8話 飾りつけ開始です。
「じゃあ、留守番頼むぞ」
今日は臨時休業。なぜなら明日の夜が誕生会だから。あいつらには留守番をしといてもらって俺は買い物に。本当は連れていきたかったが、時間がかかってしまう為俺一人で行くことにした。
車に乗り、駅前のパーティーグッズ等を扱っている大型スーパーへ行く。移動時間は十五分程。といっても何を買えば良いのか微妙だ。とりあえず何か買い揃えておけばいいだろう。
そんなことを考えていると店が見えてきた。黄色が基調となっている派手な見た目が目立っている。俺は駐車場に車を停めると店の中に入った。
来るのは久しぶりなんだけど賑やかな感じは全然変わっていない。とりあえずはパーティグッズの方を見に行く事にしよう。あ、それと。あいつらにアイスでも買ってくか。
◇
ここはカフェという料理や飲み物を提供する店らしい。こういう店は前の世界にもあった。
そこで私もアルバイトとして働いていたから確証がある。で、その店の店長だったのがエルフのミルヒで、開業から働いていたのが獣族のスノウ。
この世界は伝説の通り魔道具で溢れていた。例えば、物が焼ける箱。それから、スイッチを押すだけで明るく光る球体などたくさんある。
そして、この世界の食べ物は美味しい。向こうの世界の料理も美味しかったけれどそれよりも美味しい。昨日食べた「アップルパイ」というお菓子も今まで食べたことのないような料理だった。
この店のマスターも優しい人だった。今は買い物に行っているけど。私も数日で掃除をマスターした。でも、やっぱり汚れてもないのに掃除をするのも不思議だ。でも、同じ人族でも育った文化で、感性が変わることと同じだ。私は冒険者として世界を旅したから知っている。
「マーク、ここ手が届かないの!」
「ん、待っててくれ」
そう言えばこの言葉使いに対しても何も言われなかった。前の世界では良く「女のくせに言葉使いもなっていない」なんて良く言われた。
そう考えてみるとこの世界は自由なのかもしれない。
「マーク、手が止まってるわ。」
「えっ、ああ。うん、ボーッとしてただけだ」
そういえば、前の世界でもミルヒは私に何も言わなかった。
ちなみにミルヒは私の尊敬している人だ。あの食堂を開店するためにいろいろ苦労したらしいが王城のある町に店を持っていたんだから本当に凄い。
何かこの世界のマスターとも近い感じがするがこれが師匠の言っていた格というものだろうか。
◇
ふう、遅くなったがなんとか購入に成功した。あいつらはちゃんと掃除しながら待ってるだろうか。まあ、あいつらは真面目だからそんなこともないだろうけど。
行きに来た道をまた帰っていく。
「ただいま」
「お帰りなさい!」
「誕生会に使うものは買えましたか?」
「うん、買えた買えた」
「これがそうなの?」
「うん、それがそう」
ビニール袋の中からはクラッカー、バースデーハット、造花、後は飾りつけの道具だ。思っていたよりも安くて良かった。
「じゃあ、早速飾りつけを始めようか」
「了解なの!」
「よし、始めよう」
「はい、わかりました」
とりあえず一階だけを使う予定なので一階の飾りつけを開始。
飾りつけ用のテープ等を手にとってみて思うのだが、何をすれば良いのかわからない。まあ適当にやっていくか。
しかし、店が綺麗になっている。なんか隅の方までピカピカとしていて気分がいい。本当にいい店員を雇ったもんだ。
今日の飾りつけにしてみても思っていた何倍もの成果をあげてくれるから助かる。
片付けが終わったらお礼にアイスを振る舞うことにしよう。
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