対能力モノ免疫を鍛える僕のあす。

@Kokorono

第1話

この話をするに当たり、導入ついでとはいえ、人について話をしよう。


非常につまらない話になると思う、でも僕は気にしない。

あくまで独り言という事にして頂きたい。

話とはいったが、これからある人の言葉を覚えている分、復唱するだけだ。

ある人…そう、彼女は言っていた。

この世に生を受け、人類に仲間入りを果たした我々の殆どは皆、『幸福』になりたい。自分の生活を築き、社会を築き、他人の関わりから何かを得る為、努力をする。


それが人だと。


人は人でも一般人という部類にある僕は、当然ながら安定した職に就き、何不自由なく暮らしたいと思うわけです。

 しかしながら今日の僕は

「20xx年 6月19日 何一つそのための努力を一切せず遊んでいました…っ!!」

この様に、居間で説教を食らう僕は反省の弁を部屋中に響き渡らせていた。

「分かってんじゃん…そんじゃあさ、––––」


そう、分かってる。


「今すべき事をしよう?」

小首を傾げながら優しく微笑んで見せる実妹。

僕は何も言わず、立ち上がり、自室に足を向かわせた。

たった一人の休日を睡眠に費やす。個人的に充実した過ごし方。

それを知らずに予定外に早く帰宅した妹、未だに布団で寝る兄貴。

机に突っ伏す僕は、今に至るまでを振り返っていた。

『努力』この二文字は僕の天敵だ。でも嫌いな言葉じゃなくむしろ好きな方だと思う。

人の努力を見ていて関心するし嫌な気分になんてならない。けれどそれは、自分に出来ないからそう思うのだろう…


–––––––以上が僕という馬鹿の考えである。––––––


6月20日 午前 7時53分


朝は自転車を用いての登下校をする。ここ一帯の学生は皆そうなのだ。


意識の外にあるチェーンの音が、チキチキとペダルを踏むたびに音を立てる。何度通った事か分からない道を進み、『 事故多発 注意 ‼︎ 』と、書かれた看板を合図にして一時停止、この場所から目線を少し上に向けるだけで僕等の学舎は見える。

相変わらず、デカイ……ここまで大きい必要は無い、絶対。

証拠にも…使ってない教室が幾つもある。


事故多発 注意看板が置いてあるここの十字路は結構広い、トラックが安心してスピードを出す位には広い。

ここの十字路を出ると最近出来た大きな道路に出て非常に良いショートカットが出来る。なのでトラックは勿論の事、良く車が通るようになり事故も起こりやすくなった…

しかし、信号機が出来たおかげでここ最近はめっきり事故は起こらなくなった。

僕は辺りを見渡し安全を見計らった所でペダルに足を掛け直した。

力一杯、ペダルを踏んだ。風をきる轟音が近くにあるのを気づけずに。




それで僕は、–––––––––––宙を舞った。



苦痛も何もあったものではなく今起こった事に頭はついて行けない。先程まで見えていた進行方向は青空に移り変わる、突然それは目に映らなくなった。

真っ白だ…ただ、身体中に走る痛みと胸元に広がる激痛のコラボ、それだけはハッキリ感じとれる。

流石に理解した。


死ぬのか…


息が苦しい…


薄っすら前日の過ごし方を思い出した。

もう少し真面目に過ごせば良かったなぁ…


「ねぇ…?」


声が聞こえる。人が居る。助かるかも知れない。

「いいえ、もう無理」


なんで…?


「貴方…息苦しくはないの?胸に歩道用防止柵の尖ったところが刺さってるわ」


刺さってる…?そうなのか…………なら、僕は……死にますか…?声は出ていますか?


「死ぬわ」


伝わっている…声は…出ている…みたいだ…


「生きるのと死ぬのならどっちが良い…?」


え?

生きる…ほうが


「そう…じゃあ、質問を変えるわ––––––––死ぬのと死ねないのどっちが良いかしら?」



もう…限界だ……今にも意識が…手を離れて行きそうだ………


僕は…生きたい。今を…これから…も……だか…ら


「そう…なら、この先、生きる事に躊躇いを感じないで」



6月20日 午前 8時28分


朝は自転車を用いての登下校をする。ここ一帯の学生は皆そうなのだ。

聴き慣れてしまったから意識の外にあるチェーンの音が、チキチキとペダルを踏むたびに音を立てる。何度通った事か分からない道を進み、『 事故多発 注意 ‼︎ 』と、書かれた看板を合図にして一時停止、この場所から目線を少し上に向けるだけで僕等の学舎は見える

。相変わらず、デカイ……ここまで大きい必要は無い、絶対。

証拠にも…使ってない教室が幾つもある。


事故多発 注意看板が置いてあるここの十字路は結構広い、トラックが安心してスピードを出す位には広い。

ここの十字路を出ると最近出来た大きな道路に出て非常に良いショートカットが出来る。なのでトラックは勿論の事、良く車が通るようになり事故も起こりやすくなった…

しかし、信号機が出来たおかげでここ最近はめっきり事故は起こらなくなった。

僕は辺りを見渡し安全を見計らった所でペダルに足を掛け直した。




待てよ……おかしい。違和感を感じる…




腕時計を見る。AM 8:37

「?」

僕は7時42分に家を出た。それから、時間が40分くらいは経ってる…

何故だ…?気味が悪い…

ま、何にせよ


「これって、学校遅刻する…⁉︎」


全力で漕いだ。あとどうでもいいことだが、何故かその日は、 一日中胸元が痛かった。



思えば、この日の事を僕は忘れられない。



同日 AM 8:38


着いた。

教室に入る前に、遅刻の報告をする為、職員室に入った。


誰も居なかった。


教室に向かった。

着いた。


誰も居なかった。


隣の教室を見た


誰も居なかった。


そう、誰も居なかった。


携帯が振動する、ポケットの中いっぱいに広がってその感覚は肌を伝う。

取り出して見れば、広告が届いたのを知らせるものだった。

それだけじゃない、チャットで誰かに話しかけられている。自転車を漕いでいる途中に通知された様で、気づかないのも無理は無い。

チャットを開く、

「学校来ないで何してるの?」



相手は良く知る相手。今、着眼するのはそこでは無い


“不自然”だ。学校来ないで何をしているか?

そう質問をするのであれば普通、送り主自身は学校に来て、僕がここに居ないのを知ったからこれを送ったと考えるのが妥当。


じゃあなぜ今、教室に居ない?

アイツだけじゃない、他の人間も居ない。


朝のおみくじニュースは大吉…だよな?

朝から不吉なんだが?

夢でも見ている感覚だ。

取り敢えず教室に入って、自分の席に着く。

こうしてみるといつもと教室が大きく感じた。今だからこそなのだろう、それもまた気色悪く感じられた。


静かだ…何も音がしない。自分の荒くなった呼吸だけが教室に聞こえる。

その時、まるで何かを思い切り叩きつけた様な破裂音が廊下から聞こえた。

厳密に言えば廊下の奥辺りからだと思うが…

息遣いが荒い。

波打つ様な心拍がまた不安を煽る。

廊下の様子を見ることにした。


静かにドアの方へ進む、ドアの取っ手に指を掛けて、これまた静かに開けた。


出た。

音のした方向に目線を送る。

破裂音の発生源はこちらに背を向けていた。

“それ”は居た、居たのだ…


……………………はぁ⁉︎


「縺ッ縲″陦ィ九縺′豁」縺陦ィ遉コ縺ァ縺繝シ繝ォ 繝ァ縺ョ繧ク……」


まず人語ではない…その姿も人の形ではない。

二足で自立するその風貌は人の様だが、姿形はまるで昆虫の様だ、バッタに近い見た目で、二つの複眼が光りを反射し、艶のある質感が異様な存在である事を助長している。


そして驚きのあまりたじろく事も忘れていると、機械が軋むような音と共にこちらへ振り向いた。

「∵譚・陦ィ遉コ輔繧九∋枚蟄励′豁」遉l縺ェ%縺ィ縺ァ縺ゅ縲…」


奴が何を言ってるかわからないが、ともかく、

「うぉぉおおおおぉぉおおおおおァァアアア‼︎‼︎‼︎」


逃げる事、これ即ち生存本能なり。



目の前の物体に狂乱する精神。

今までにない程、大量に血を送り込む心臓。

何もかもが、お初である。

そんな僕は久園 未来、今、化け物に追われてます。

---------------------------------------------

「ウォォオオオァァァアアア⁉︎⁉︎」

叫びながら走る事に意味はない。

これは注意を引きつけるなどの、デメリットを産むだけでなく、おまけに酷く情けない姿となった。


…が、あの様な身なりをした生き物にはあった事もないし、作り物の様にも見えない。驚きと不安が手伝って、これは叫んで当たり前だ。


しかし、どうしたものか…?

何か訳の分からない事態に巻き込まれ、本能から危険を察知し逃げたまでは良いが–––––––

廊下を全力疾走で渡りきり、手頃な物陰を選んで潜り込む。


そこは廊下を突き手に曲がった場所にある用具室の中だ。薄暗く、ホコリ臭い、出来ればあまり入りたくはない場所。


しかし、隠れられる場所は他には見当たらない。

このままやり過ごすか?それは何時までだ?外側の様子が分からなければ判断出来ない。


扉のドアノブを軽く静かに捻り、少しの隙間を作った。

これで外の様子が伺える。

すると、

「マズイじゃない、何か策を考えないときっと死ぬわ」


––––––––– 、⁉︎ ⁉︎ ⁉︎


声のする背後をバッと見る。

驚きの余り声も出なかったが、音声の主が視界に入った時はそれ以上の衝撃を受けた。


緑髪には見覚えがある。

朝の遭遇、忘れるはずもない。

自転車登校の時の…

あの少女である。

「なんで…居るんだ?」

会話をしなければ、何一つと浮かんだ疑問を払拭できない。そのままは気分が悪いので問うた。

そもそも、この存在を無視できる程のメンタルを持ち合わせてはいない。


不安気な態度の問いかけを案じてか、彼女は落ち着いた声色で

「何も危害を与えるつもりはないし、これからも多分ないわ」

と言う。


……多分、というのが引っかかるが、彼女は僕にとって少なくとも『今は』害悪ではない様だ。


それよりも、と彼女は続ける。

「あれが何なのか分かる?」

「知りません」

僕は即答。


「教えてあげる」

「へ?」

なぜ知っているのか…?

情報提供は嬉しい、けれどこちらに情報を開示してどうしようというのか?

その不安が原因で驚嘆していた。

少し考えた。


先程のこの少女自身が言った、

『危害を与えるつもりはない。』

というのは『自分から直接』という意味合いだったりする?ならこの状況、相当まずいのでは、

何が言いたいかといえば、ここまでの勝手な考察を正しいと認識すると、あの化物の素性をこいつが知っていても何も疑問にはならないという事。

つまりそれは、少女がこの化物を知っている。

なので、関係性がある。それ故にこの少女は危険である。というロジック。

『何も危害を与えるつもりはない。』


『私からは』何も危害を与えるつもりはない、

先程の台詞がこの様に、リフォームされて何ということでしょう!



「余計な事を考えないのが得策だと思うわ…」


睨み。その凍てついた表情に気圧され思考を止めた。



彼女からは様々な事を聞けた、今自分が何に巻き込まれたか、そして生き残れるかも。

まず、徘徊している存在については彼女自身もよく分かっていない。

よく分かってないってなんだよ。

情報提供ダメじゃねえか。しかしだ、これで関係性が多少薄れたか…?––––––、


ひとまずそこは置いておこう、少女はアレについて今一番重要な点を教えてくれたのだ。


アレは、血を流している人間を区別しているという事。

血を流している人間に危害を加えない、但し武力持つ者には武力をもって臨む……らしいです…

つまりだ、怪我をすれば良い。幸いここは用具室。使い用によっては、生身に傷を付けるのも容易い道具が多い。


そして血を流した後は、校内から脱出する。奥にあるグラウンドの方まで向かえば避難した生徒及び、学校関係者と合流できる。


これがプランだ。

そしてその通りに進める。

ノコギリが有ったのでこれを使う事にする。

抵抗はあるが、生死に関わる事だ。

肌に強く刃を押し付けて流血させた。あとは––––––

隙間から覗き、タイミングを計って外へ出る。危害が加えられない条件を踏んだとはいえ、念を推して見つからないよう慎重に事を進める。


奴は何処か一点を見つめたまま動かない様だ。用具室の中にいる時から五分間はその状態。


これは、チャンスだ…っ‼︎


全力で走り去る‼︎

上手く撒けるか…?

動け、動け、 一生に無い位の筋肉行使をしろ、生き延びる為に…‼︎


「鷭':據䗥"鸕,j…」


「?」

今、奴は何か言った。気づかれたのか⁉︎


堪らず背後に悪寒が走る。身体を少し逸らし首と目線の可動限界ギリギリで止め、後ろを確認した。


居なかった…

さっきまで悠然と立っていた化物の姿は跡形も無く消えていた。



僕はグラウンドに立っている。

生き延びた。生き残れた。

それから何分経った?

分からない…


そこには多くの人が血濡れた姿で倒れている。

何人いるだろう? 20人だろうか?

僕の他にもグラウンドに立っている姿が見えた。良かった、合流して何が起こっているのか状況を把握しよう。


それは人ではなかった。

血濡れている人を周りに敷き詰めている様にして、中心にその姿がある。その生き物は独特な形の、昆虫の様にも見える、上手く形容し難い口をまるで顎が外れているかの様に大きく開き––––––––––



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「…ッ⁉︎」


笑っている…

言葉が分からなくても、これは察せた。人を殺して笑っている…


死んだ中には見覚えのある顔があった。

朝、軽い挨拶を交わす奴も、親切に接してくる委員生も、顔を合わせれば少しの談笑をした奴等も、


あさチャットを送ってきたアイツも、


死んだ、身体が重くなって来た。

何かの回路どうしが繋がった気がした。

意識がショックを起こしている。

身体が動かない。

その時、

僕は、


僕には、


『アイデア』が浮かんだ。

その途端、視界が暗くなった。


両手は肘から下、雨垂れが壁を伝う様に、指先に至る隅々まで、黒く染まり始め、染まった箇所から墨汁の様な黒い水が染み出て隅々まで包む。

光も通さない程の黒い水は、指先一本一本を丁寧に広がり、水は鎧の様な形状に変わる。液体の質感から固体の質感へ、肌に張り付いた感覚は、もともとはこういう肌だったような感触へ、身体の重さは、綿の様に軽く、“どうにかする”

脳裏に浮かぶ単語が自身を再起動している様をあらわすように、やがて頭を埋め尽くす。



化物は人間の襟を掴み、言葉を紡ぐ。

少年の折れた右腕を力強く引く。

少年は化物の拘束に抗うのか、襟元の腕を握り力を入れた。化物の腕は大きな力に耐え兼ねて潰れた。


相当の硬さがあっただろうな、自分が握ればこうなるのを何処かで知っていた。

化物の事を分かった、理解ができた。

何故?

それは、同じ者に成らないと分からないから。

化物は、潰した腕に悶えているのか不規則な動きで暴れ回る、少年から離れた。

少年は近ずいて、言葉に成らないモノを叫んだ。

拳を振り上げ、叩き付ける。

振り上げ、叩き、振り上げ、叩き、叩き、叩き、叩き、叩き、






6月 2 - 日 -- -- : --


目覚めた。

家のベットじゃない。ここはどこだろう。

周りを見渡せば白い壁に広い床。その真ん中にこの家具は陣取っていた。

あまり視界が良くない。

気づけばここに、僕だけじゃない事に、気づく。

自分のベットの上で突っ伏している存在が、視界が悪くても分かった。

目を凝らす。


その人は布団の上で顔埋めていて様子を伺えない。

右手に本を持ったまま、寝息を立てている。


息苦しくないのだろうか? 布団の埃を吸い込んでいるだろう。

少しずつ目の調子が良くなるにつれ、身体の至る所から痛みを取り戻した。

今はそれより自分の置かれた状況を把握したい。


この眠りにまどろむこの人物の髪の色。

人間の衰えからくるのとは違う。絹の様な色合いの白髪であるという事。

丁度いい、この方には悪いが夢の世界から現実に戻って貰って、ここがどこなのかぜひ、ご教授 願おう。


「あの、すいません」

揺らす。この人の身体を自らの右腕をもってして、


右腕で、


「……スゥ」

起きない。

これ本当は死んでるんじゃないのか?

自分の視界がくすんでいるせいで、寝息を立ててみえただけじゃないのか?

「………んぅ」

いや生きてた。

絹のような髪は、綺麗にミディアムヘアで、顔を上げた少女はとても可愛らしい表情をした。

まだ眠そうである。


端整な顔立ちをしたこの少女、一変して笑顔で言う。

「この度は編入され、おめでとうございます」


とても可愛げのある様子と、何の事やらさっぱりの話は、 これから僕の日常と精神を保つための、対、非現実免疫を付けるきっかけになった。


これが、幕開けとなる。

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