大国主になった厨二 古事記世界でチート無双

かぐけんと亜美会長

プロローグ

異世界さんこんにちは!女神ってそんな?

 俺は大波武一おおなみむいち14歳、現在、絶賛とまどっている。


 目の前にきれいなおねえさんがいる。


 何が起こった?


 地震でジジイの斬撃で飛ばされて、勾玉まがたまが光って・・・

 飛ばされた?


 うん、意味がわかんない。


 両親のいない俺は、武道家のジジイにスパルタで育てられた。

 家の庭で、おそらく世界最強だろうジジイとの稽古中に、地震が起きて中庭の地面が隆起した。

 そこで土の中から出てきた勾玉を手に取ったらコレだよ。


 あらためておねえさんを見る。


 少し外人っぽいのかな。

 肌は透きとおるように白いし唇の色も薄い。

 こういうのアルビノって言うんだっけ?

 髪の毛は白銀で輝いている。


 人間離れした美人だ。


 目は閉じているみたい。

 だけど普通に立ってるし、寝てるわけじゃなさそう。

 薄目を開けているのかな?

 感覚的に見つめられてる感じがする。


「誰ですか?」


 かなりびびりつつも声をかけてみた。

 返事は無い。


 俺は武力は高いがコミュ力は低い。

 むしろコミュ障のキモオタだ。

 もちろん妖精フェアリーだよほっといてくれ。


 視界の範囲であたりを伺うが、家の庭じゃない。

 まわりは鬱蒼うっそうとした森。

 おねえさんの背後には、見たこともないレベルの巨木が、天を突いてそびえ立っている。


 小さく波の音が聞こえる。

 かすかに潮の香りもする。

 海が近いのか?

 家は山奥だしありえないんだけど。


 誘拐されたのかな?

 いや、一瞬の出来事だし、そんな感じでは無いな。


 てか、ジジイはどこだ?


 とりあえず身体を起こして正座の形になる。

 土下座はあんまりだし。


 なにをされるかわからないので目の前のおねえさんから視線は外していない。


 どうする?

 沈黙がきついんですけど。


 繰り返すが、俺はコミュ障で引き篭もり系のオタクだ。

 きれいなおねえさんの対応なんて無理ゲーすぎ。


「あのぅぁ」


 しまった。声が裏返った。

 あのぅぁってなんだ。

 われながらありえないだろ。


『月に打たれた者よ』


「はい!?」


 頭の中に直接声が響いた。

 俺のこと?


 おねえさんの口は動いていない。

 まわりを見回すが誰もいない。


 月? そういえば月が無いな。

 さっきまで満月だったはずなのに。

 っていうかおねえさん誰なの?


『創造の母にして破壊の女神。時間と運命のはかり智慧ちえの血。28の獣』


 返事キタコレ!


 やべえ。でも、まったく意味がわからない。

 女神とか言っちゃってる。

 その後の言葉なんて、まるでわからない。

 28の獣とか、なんかの組織名だろうか?


 まさかの厨二展開に、俺の厨二パワーが追いついていない。

 妖精王よ! 俺にもっと力をくれ!


 いや、現実を見つめよう。

 これってあれ?

 お医者さんが必要なやつ?

 それとも事件になる薬やっちゃってるとか?


 つーか、ここってどこなんだろ?


『浄化の地。英雄王のゆりかご。夢と無意識の楽園』


「夢?」


 あ、夢なのか?

 どこから?

 しかし、夢にしてはリアルだ。

 全身に感覚があるし、音や匂いもある。

 こんな夢は見たことないぜ。


 いや、待て。

 ひょっとして死んだとか?

 これって死後の世界とかじゃね?

 いやまあ、行ったことないから知らんけど。


『月に打たれた者よ』


「俺ですか?」


『祝福を』


「え?」


 おねえさんが右手の平をこちらに向けた。


 おねえさんが目を開けた。


「うおおおおおお!?」


 吸い込まれる!?


 光が爆発したように広がった。

 視界が白い光で埋まっていく。

 手の中の勾玉が光っている。


 慌てて振り向くと、夜空にそれが浮かんでいた。


「地球か?」


 夜空には青い惑星だ。

 海と陸地、雲が渦巻いている。

 宇宙に浮かぶ青く輝く星。


 宇宙船から見た地球の映像が、たしかこんな感じだった気がする。


 なにがどうなった?


 おねえさんも風景も、白い光に飲み込まれていく。


 そして・・・


 世界が白く塗りつぶされた。


 俺は意識を失った。

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