森川隆二 〜モリカワリュウジ〜
4月26日
今年で芸歴20年となる元子役のアイドル森川隆二さんの楽屋には毎回多くの共演者が挨拶をするために訪れる。
「失礼します」
「はい、今日はよろしくお願いします」
最近メディアへの露出が多く見られ、人気が上昇しているとみられる他事務所の女性アイドルが控室を出て行くのを最後まで見送った隆二さんは、扉の前から人の気配が無くなったことを察知すると畳になっている床の上に身体全体を大きく伸ばして寝ころんだ。
「やっと終わった」
「自分の事を覚えて貰おうとしていた彼女には申し訳ないけれど、挨拶にしては随分と長かったね」
「わざわざ楽屋に挨拶に来てくれなくてもいいのに」
芸能人はテレビ局での仕事の際に共演者がいるとその共演者の控室に挨拶に行くことが決まりのようになっている。だが、隆二さんのように挨拶だけとはいえ楽屋という仕事現場に設けられたプライベートスペースに入って来てほしくはないと思っている芸能人も多からず、少なからず存在している。
「挨拶だけで長時間居座るのはいかがなものかとは思うけれど、礼儀としては仕方のない事だと思うよ」
「そうだよな」
僕たちだけでは到底解決できそうにない問題に困り果てていると、控え室の扉がノックされた。
「はぁ」
起き上がった隆二さんは静かに大きな溜息を吐いていた。
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