佐光祐樹 〜サコウユウキ〜


3月23日




「悪いね、プロデューサー。実家暮らしであまり料理を作らないから簡単なものになってしまって」




 今日の昼食当番を自主的に務めている佐光祐樹さんは唯一の得意料理だという焼飯と、誰が用意したのかはわからないが随分と前からプロジェクトルームのキッチンに置かれている手作りのレシピ本をもとに作ったという中華スープを僕の所まで運んできてくれた。




「簡単なものだとしても作ってくれるだけでありがたいよ」




 僕はそう言いながら手が空いているのにもかかわらず手伝う事は無く、ただ座って当たり前のように料理が運ばれてくるのを待つアイドル達を見て溜息を吐いた。




「そう呆れないであげてくれ。皆レッスンで疲れているのだろう」




 僕が冷え切った視線をアイドル達に向けていることに気付いた祐樹さんは起こっても良い立場であるのにもかかわらずそう言ってアイドル達をかばってあげていた。

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