姫路プロジェクト 男性アイドル編
明石和智 〜アカシカズトシ〜
3月6日
一仕事終えた僕は事務所の最上階にあるテラスにやって来た。
「今日も良い眺めだ」
屋上の方が周囲の夜景を余すところなく堪能できるのだが、この時期の屋上は少し冷えるので暖房の聞いた屋内で娘であり担当アイドルの花火が作ってくれた弁当を食べながら夜景を見るという至福の時間を過ごしていた。
「風切さんの言う通りやっぱりここに居た」
「和智くん、僕に何か用事でもあった?」
「ちょっと見てもらいたいものがあって」
明石和智くんは鞄からA4サイズの紙の束を取り出してそれを僕に手渡した。
「新ユニットの企画書?」
見た目の出来栄えから考えて大人に手伝ってもらいながら作ったことが考えられるその企画書に目を通してみると、その企画書は事務所の企画会議に出しても通用できる出来栄えになっていた。その出来よりも僕が気になったのは、ユニットメンバーとして挙げられている年齢も所属プロジェクトも異なる十数名のアイドル達についてだった。
「ここに書かれているアイドルはどういう選出理由なの?」
「時間が空いている時に集まってサッカーをしているメンバーなんだけど、このメンバーでユニットとしての活動もしたくて」
「なるほど」
「難しい?」
「他のプロジェクトとも話し合わないといけないから、僕個人で決定することは出来ないかな。だから、こんな立派な企画書まで作ってくれたのに申し訳ないとは思うけど、あまり期待はしないで待っていてくれる?」
「はい」
この企画書で十分通りそうな企画だとは思うのだが、プロデューサー歴が長い僕でも流石に行った事のない他のプロジェクトを巻き込んだ壮大な企画であることは間違いないので自信があっても絶対と約束は出来なかった。
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