楽野笑美 〜ラクノエミ〜
2月19日
「うちもバンドやりた~い」
楽器はリコーダーとカスタネットくらいしかできない楽野笑美さんはそれ以外の用は特にないのにもかかわらず朝早くから事務所を訪れてたった一人でそう騒いでいた。
「そんな事言われてもね。笑美さん楽器出来ないでしょ?」
「出来るよ! リコーダーとカスタネット。あと、トライアングル」
笑美さんの堂々とした返しに対して僕は言葉が足りなかったことを後悔した。そして、
「ぷっ」
僕を含めプロジェクトルームにいたアイドルや事務員さんたちはバンドと言われたら何となく思い浮かべるギターやドラム、キーボードなどが格好いい演奏をする中に混ざってリコーダーもしくはカスタネットやトライアングルを鳴らす笑美さんの姿を思い浮かべてしまい笑いを我慢しきれずに各々小さく噴き出してしまった。
「笑うなっ!」
「ごめんごめん」
「お詫びにうちをバンドのメンバーに入れて」
「前向きに検討するよ」
僕自身はこの言葉に対する期待や信頼は全くないのだが、この場を切り抜けるために使い笑美さんを何とか誤魔化した。そしてその数分後、僕は笑美さんの期待に一応は沿うことの出来る企画を思いついた。バンドはバンドでも、マーチングバンドという形にはなるが。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます