七宮毎美 〜ナナミヤコトミ〜

2月1日


 外出先で事務所から緊急の連絡を受けたこの後行うべき仕事を姫路プロジェクトでマネージャーとして働いている風切くんに引き継いでもらい、僕は事務所へ戻った。


「毎美さん!」


「プロデューサー、知久ちゃんのテンション移った?」


 レッスン中に貧血で倒れたという七宮毎美さんが運び込まれたという医務室に彼女の名前を叫びながら入ると、新雪のように真っ白な肌を持つ毎美さんは意識を取り戻していたようでベッドの上に座り僕を見て微笑んでいた。


「毎美さん、体調はどう?」


「お仕事中なのにご迷惑をおかけしてすいません。倒れておいてこんな事を言うのは変ですけど、久しぶりのレッスンで少し張り切り過ぎただけなので大丈夫です」


「そうは言っても、毎美さんは身体が弱いとは言わないまでも普通の子たちよりは強くないのだから無理はしないでよ」


 頑張りを否定するようなことは絶対に言わないが、何よりも先に健康でいてもらわないと困るのだからあまり自分の限界を超えるような無茶なレッスンをして貰いたくはなかった。


「わざわざ心配してくれてありがとう。プロデューサー」


 僕は今日、いつも毎美さんたちアイドルに笑顔にさせてもらっている分、毎美さんを笑顔にできたのだろうか。

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